2008年に秋葉原17人無差別事件を起こした加藤智大被告が獄中手記「解」を出版するという。「スッキリ!!」によれば、手記は事件の被害者や関係者への謝罪からはじまり、事件当日の6月8日の3日前からの心境が綴られている。
3日前の6月5日は「ツナギ事件」が発生した日である。朝、工場に出勤すると、加藤の仕事着であるツナギがなくなっていたので、誰かに隠されたと思い、ショックで仕事に行かなくなり友だちも失った。
「ネット掲示板の成りすまし攻撃するためにやった」
加藤が頼っていた存在としてインターネット掲示板があった。「依存」の一言で片付けられるようなものではなく、「全ての空白を掲示板で埋めるような使い方」をしていた。「空白」とは孤立している時間であり、「孤立」とは社会的な死であるそうだ。
掲示板は友だちと話す居酒屋のようなものから、家族がいる家のようなものになり、いつしか「掲示板に帰る」感覚になっていた。しかしそこも安住の地ではなく、加藤は執拗な成りすましに悩まされていた。「30日にかけて徹底的に徹底的に私に成りすまし、私を殺すことが目的の、悪意のある行為」を受けていたというのだ。
こうしたバーチャルな相手は殴ることも睨むこともできなかったため、間接的に攻撃するしかなかったとし、秋葉原で事件を起こしたのは「成りすましを心理的に攻撃する手段」だったと述懐している。
文
ボンド柳生