滋賀・大津市の中2男子(13)が自殺した問題で、 大津市教育委員会がきのう10日(2012年7月)に会見し、事件後の生徒へのアンケートで「自殺の練習」「葬式ごっこ」などのいじめの記述に気づかず、事実確認も行なわなかったと明らかにした。しかし、いじめと自殺との因果関係だけは、きっちりと逃げた。
あくまで言い張る「自殺といじめの因果関係わからない」
学校側は当初、「いじめは確認できない」と説明していたが、事故後の昨年10月に行なったアンケートの結果、自殺した生徒が複数の同級生から首を絞められたり、殴るなどの暴行を繰り返し受けていたことがわかり、学校も「いじめはあった」とまでは認めた。「気づかなかった」「適切な対応ができなかった」と述べたが、自殺との因果関係は不明だと、それ以上の調査はしなかった。
アンケートは11月にも行なわれていたことがきのう初めて明らかにされた。この中には「自殺の練習といって首を絞める」「葬式ごっこ」などの記述があったが、 市教委は「これに気づかず、事実の確認もその時点では行なっていませんでした」と悪びれた様子もない。
先週、「自殺の練習」という回答が報道で明らかにされたあとも、「事実かどうかわからない」としていたが、きのうになってこれを「気づかなかった」と言い直した。また、「記載した生徒はすべて友人Aからの伝聞。AもまたBからの伝聞」で、有力情報と捉えていなかったという。因果関係についても、「いじめはありました。自殺もありました。が、因果関係までは判断できません」という答だった。
文科相「調査やり直しを文科省が直接やることもあり得る」
平野博文文科相は「受け身の仕事はしません。命をなくしているわけですから、教委の役割としてどうだったのか、文科省として直接やることもあり得る」と語った。
この事件で学校、教委の姿勢はいささか異常だ。生徒への聞き取りでも、いじめの現場を担任教師らが何度も目撃していたことがわかっていた。暴行もかなりのものだった。にもかかわらず、何もしていなかった。大津市の越直美市長は会見で「いい加減な調査で事実をわからなくしてしまったのは、学校と教委の責任。訴訟でも大津市が責任を負うべきだと思っている」「遺族から求められているのは、何があったのか事実を知りたいのが一番だと思う。私がやれば事実が出てくると思うし、それから和解したい」と述べた。
アンケートやりっ放しで読んでもいなかった?教育委員たち
司会のみのもんた「市教委は歯切れが悪くてよくわからない。気づかなかった? アンケート読んでなかったの」
弁護士の若狭勝「記述があって、なぜ気づかなかったのかをきちんと説明してもらわないとわからない」
慶応大教授の片山善博「おかしい。気づかないはずがない。気づきたくなかった。アンケート結果を公表するのはまずいと思ったんだと思う」
みの「教育委員会ってのは?」
片山は「都道府県にも市町村にもある。学校の管理は市の教委だが、教員は県の教委から派遣される。派遣社員で経営してる工場みたいなもの。そういう構造的な問題もある」という。また「当事者能力のないのが多い」ときびしい。地方では一種の名誉職で、「あいつが教育委員!」と驚く話も珍しくない。今回の事件で一番学んだのは、子どもたちかも知れない。この傷は深いぞ。