5月(2012年)に東京電力が申請した家庭用電気料金値上げについて、経済産業省の電気料金審査専門委が報告書を枝野経産相に提出した。申請の10.28%を9%台に圧縮、社員の給与2割削減という内容だった。きのう7月10日、内閣府の消費者委員会が報告書を検証したが、さらなる圧縮を求める意見が続出した。
2割カットでようやく他企業並みの給与
人件費については、「まだ高すぎる」「ようやく他企業並みとは、破綻して公的資金を導入された企業のやることか」「さらに削減すべきだ」と批判の的となった。福島第1、第2原発の維持コストを値上げの原価に含めていることにも、「再稼働が見込まれないのだから除くべきだ」と指摘された。
株主配当や金融機関への利息に当てられる「事業報酬」には、「株価ゼロでもおかしくないのに、なぜ6.32%もの配当や内部留保の利回りを設定するのか」「算定のもとになる自己資本が、実際の5倍以上で計算されている」と数字までが飛び出した。今年3月期決算時の自己資本は5274億円だが、値上げ申請では2兆8148億円になっている。これは省令で決まっている「資産の30%(仮定の自己資本)」だが、「東電の特殊性を考えると、他の電力会社と同じ基準で審査しているのはおかしい」(外部委員・水上貴央弁護士)。 これで1000億円削減でき、値上げ幅で約2%圧縮できると主張した。
この日、消費者委員会は「9%台前半からさらに圧縮できる」との意見書を消費者庁に提出した。値上げ幅は示さなかったが、これについて水上弁護士は「妥当性を判断するのに 十分な資料を東電が出していない」からだという。たとえば、人件費、委託費で競争入札がどれくらいか、東電社員の年齢別の年収、日本原子力発電への支払いなどだ。「これらがないと原価が正しいかどうか精査できない。経産省がダメなのか、消費者委の事務局がダメなのか」