いじめ遭ったことない裁判官にいじめわからない
判決ではこうした学校の調査についても、「不適当とはいえず、隠蔽の事実も見当たらない」とした。弁護士の田中喜代重が解説した。「いじめと自殺の訴訟では、(1)いじめがあったのか(2)いじめと自殺に因果関係があったのか(3)いじめから自殺が予見できたのかの3つのハードルがあります。この判決では(1)ではねられてしまった。
結局、いじめとは何かという話になるが、はっきりいって、裁判官によってかなり受け止め方が違います。本人の目線に立つかどうかです」
教育評論家の尾木直樹は判決を厳しく批判する。「いじめの定義そのものが2007年に変わっています。本人がいじめと感じたらいじめになんです。今回はそれに基づかないで裁判が行われた。裁判所の怠慢です。とんでもない」
足を踏んだ側は踏まれた側の痛みはわからないというが、いじめを受けた側の苦しみはいじめられた体験を持つ側にしかわからない、ということなのか。
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト