「皆さん、オスプレイはなぜ嫌われるのか、その凄さを知らないかもしれません。危うさも知らないかもしれません」
米軍が沖縄・普天間基地に10月(2012年7月)から配備を目論む垂直離着輸送機「オスプレイ」を、笠井信輔アナが「フカボリ」コーナーで取り上げた。
着陸時の「モード切り替え」で480メートル急降下
オスプレイの最大の特徴はヘリコプターのように垂直離着陸ができるうえ、飛行機の機能も持っていることだ。離着陸の時は回転翼を上向きにしてヘリモードにし、上空を飛行中は前に向けて飛行モードにできる。従来のヘリと比較すると、ヘリの最高速度が時速265キロに対しオスプレイは565キロと2倍。給油せずに往復できる作戦行動も半径140キロに対して600キと4倍だ。さらに、担架を12台分収納し、心電図モニターや点滴器具、酸素ボンベなども装備していて、機内で医療スタッフの治療が可能だ。
ただリスクもある。着陸するために飛行モードからヘリモードに切り替えるのに12秒かかり、その時に480メートルも急降下してしまう。開発段階から7回事故を起こしており、このうち4回は着陸時の事故だった。過去36人の死者を出し、「未亡人製造機」と呼ばれていたこともある。しかも、7回のうち2回の事故はここ3か月以内に起きている。
昨年4月まで国務省の日本部長だったケビン・メアは、「反対運動があるから拒否は望ましくない。飛行中の事故率を調べたが、全軍用機の2.45に対しオスプレイは1.93で危険な軍用機とはいえない」という。そして、ここぞとばかり、「尖閣諸島に何かあった場合、普天間基地から給油なしで1時間ちょっとで行ける」とメリットを強調する。しかし、配備を予定している普天間基地周辺は住宅密集地で、地元住民が墜落に恐怖を覚えるのも当然だろう。