日帰りでタケノコ採りのつもりで山に入った78歳の男性が沢に滑落、20日ぶりに釣り人に発見された。なぜ生き延びることができたのか。3つの幸運を田中良幸リポーターが現地で取材した。
標高1000メートル、朝晩気温3度、落雷と大雨―家族も諦めた
20日ぶりに発見されたのは秋田県仙北市の鈴木徳夫さんだ。秋田と岩手の県境の山に6月18日にタケノコを採ろうとひとりで入った。日帰りのつもりだったので、食料はおにぎり3つとチョコレート、ペットボトル(500ミリリットル)だけだった。
タケノコ採りに夢中になって足を踏み外し、沢に転落して動けなくなった。尾根に登ろうしても岩場で断念。近所の知人によると、「ここは鈴木さんが30年以上も行っている場所」という。標高1000メートルほどだが、この時期でも朝晩は気温3度まで下がる。6月中旬から7月上旬までこの地域は雨が降り続き、遭難中の7月5日も落雷を伴う大雨だった。家族は亡くなったとほぼ諦めていた。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト