戦後闇市のような路地・中野の「川二郎」うなぎ串焼きの秀抜
特別付録「安うま味酒覧」。今回は東京・中野のうなぎ串焼き「川二郎」である。中野北口ブロードウエイに突き当たって右へ曲がり、「路傍」という居酒屋を左へ曲がると古き良き飲み屋が並ぶ路地である。看板も小さくて見過ごしそうな入り口の狭い古びた店だが、東京でも数少ないうなぎの串焼きの店の中では随一といわれる名店である。串焼きは開いたうなぎが筏になって並んでいるのではなく、1本の串に巻かれているのだ。
行った日は8時過ぎだったため品切れが多く、湯がいたゴボウにうなぎを巻いた八幡巻きと銀杏、ネギ焼き、うなぎの白焼きと蒲焼きを頼む。大山をコップでやりながら、まずは八幡巻き。戦後の闇市もかくやと思わせる煤けた店内だが、うなぎを焼く店主と女将さんはまだ若い。二代目なのだろうか。
ようやく白焼きと蒲焼きの登場。やや小ぶりだが、口に入れるととろけてしまう。うな丼もあるが我慢。2人で酒6杯でお勘定は4000円と少し。帰り際、うなぎが高くなって大変でしょうと聞くと、困ってますとの答え。いい店だ。