昨年10月(2011年)、滋賀・大津市の中学2年の男子(13)が自宅マンションから飛び降りて自殺した。いじめがあったらしい。学校は「いじめは確認できない」と毎度の言い訳だったが、市教育委員会が生徒を対象にアンケートをして、「いじめはあった」と認めた。
アンケートで15人が「自殺の練習をさせられていた」と答えていた。しかし、市教委も内容までは公表しなかった。「みな伝聞で確証がなかった」「いじめと自殺の結びつきを断定できない」からだという。
市も教育委員会も調査打ち切り
アンケートには「首を絞められていた」「死んだハチを口に入れられていた」「殴る蹴るの暴行」「万引きの強要」「キャッシュカードで遊ぶ金を使われていた」「死ぬ前日、部屋をめちゃめちゃにされ、財布をとられていた」という回答もあった。にもかかわらず調査は打ち切られた。
「朝ズバッ!」が生徒に聞いた。いや、出るわ出るわ。「3、4人に囲まれてなぐられていた」「死ね。うざい。消えろとか言われていた」「イスに縛られてなぐられていた」「死んだハチを食わされかけてて、オレは見てて、やめとけと」話す。「学校から口止めされている」という声もあった。「学校は隠してばかり。そういうことはあった」「やっぱり言わなあかん」 「テレビにしゃべるなと言われたが、話す。学校はせこい」「(見てた)オレらも悪いし、いじめたヤツも悪いし、先生も悪い」
死んだ子の両親はいじめた3人の生徒と両親、大津市を相手に7700万円の損害賠償を求めている。これに対し、市は「いじめは執拗なものとはいえず、自殺の原因とはいえない」、加害者は「いじめではなく遊びだった」と話している。越直美・大津市長は自らもいじめを受けた体験から、「いじめのない大津市にする」と言いながら、それ以上の調査は打ち切ったままだ。
「先生に相談したけど何もしてくれなかった」
それにしても、「自殺の練習」とは聞き捨てならない。これは裁判の準備書面で遺族が明らかにしたものだ。「何回も自殺の練習をさせられていた。先生に相談したけど何もしてくれなかった」というアンケート回答を見ながら、教師と教委は何を考えていたのか。
司会のみのもんた「決まり文句ですね、因果関係がわからないというのは。でもこういうアンケートが出たら公表すべきじゃないの」
金井辰樹(東京新聞政治部記者)「15人が言っているのなら相当程度確かだろう。自殺の練習とは普通のケースよりさらに痛ましい」
北川正恭(早大大学院教授)「隠す体質が問題。自分たちの責任になるから。トップが責任を取るといえばいい。真実を出すということをしないと解決にならない」
みの「いじめはいけないでしょ。悪いんならやめさせるしかない。因果関係なんて専門家にまかせておけばいい」