攻撃に無防備な一般家庭。企業は自前で防衛策
新誠一・電気通信大教授は「インフラ攻撃は破壊の影響力が大きい。国の安全・安心に関わり、騒乱を起こす。企業はライバルの妨害もできる」という。いまやわれわれは制御システムにとりまかれている。一般家庭の中にも100くらいのシステムがある。ほとんどがネット以前に作られたもので、サイバー攻撃には無防備というわけだ。教授は「便利は危険と裏表です」という。
ある意味、いたちごっこでもある。工作機械のトップメーカー「アマダ」は昨年1月から製品にサイバー攻撃防御機能を付けた。「ホワイトリスト方式」 というあらかじめ認められた信号しか受け付けない方式である。ITの専門会社もやられている。パソコン周辺機器のトップメーカー「バファロー」は2010年に製品にウイルスが侵入した。セキュリティーは万全のはず。結局、外部から持ち込んだUSBメモリーとわかった。バッファローは小さなUSBメモリーに強固なセキュリティー機能を組み込んだ。
新教授は「システム自体が自分で対処するような、人間の免疫みたいな仕組みを導入できれば」という。教授は4月に経産省が立ち上げたセキュリティー・センターの理事長を務める。制御システム会社など民間中心の対策プロジェクトである。
先進国アメリカは国家安全保障局(NSA)が中心だ。軍事技術、原発、行政や都市システム重視からだろう。そういえばイラン攻撃はハッカーにできるワザとも思えない。サイバー攻撃図では中国が目についた。日本の動きはなおのんびりに見える。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2012年6月28日放送「サイバー攻撃の恐怖 狙われる日本のインフラ」)