「実は原の恐喝の前に、HとKは中畑に相談しとるで。中畑はKのことを『おやっさん』と慕っていたから、Kが恐喝の仲介を頼んだんや。そしたら中畑は『野球選手は二千万円か三千万円しか持っていませんよ』と言いながら、原の携帯番号を教えてくれたそうや。ワシが09年の時に新宿にある中畑の事務所『ドリームきよし』に電話を入れて、恐喝のことを聞いたら、担当者が『その件はKさんに一切お任せしています』と言うとったで。つまり認めたっちゅことや」
原辰徳・巨人軍監督が元暴力団員Kと現役暴力団員Hに1億円を払っていたという先週の「週刊文春」のスクープは、原監督もその事実を認めてコメントを発表し、読売巨人軍も払った相手は「反社会勢力に属する者ではない」としながらも認めたことで、大新聞やテレビまでが大きく報じて騒動は収まる気配がない。
そのうえ、今週の文春が2009年4月に、恐喝をしたHの兄貴分を名乗る元暴力団組長・山本正志(仮名)が、巨人軍の球団事務所と原に脅迫行為を続けて逮捕されたが、その山本にインタビューして上記のような発言を引き出したのだ。スキャンダルは今期から「横浜DeNAベイスターズ」を率いている元絶好調男・中畑監督にも飛び火し、球界全体を巻き込む大騒動となってきた。しかも事情を知る関係者の話としてこう書いている。
「中畑は原の携帯番号を教えただけではなく、実際に原と面談したと聞いています。K側は06年8月末に巨人の遠征先の熊本のホテルで、原に一億円を要求しましたが、それ以前に原監督と中畑監督の間でやりとりがあったようです。週刊文春の記事の金銭要求の場面で、K側の人物が指を一本突き出し、原が『一千万円ですか』と聞き、K側が『桁が一つ違う』と答えていますが、あのやり取りは実は原と中畑の間で交わされたものだったそうです」
これが事実とすれば、爽やかな人柄で人気のある中畑の致命傷になる。文春によれば、中畑とKの出会いはいまから約20年前だという。中畑が現役を引退して新宿で焼き肉店をやっていたときに知り合い、のちにKの息子が中畑と同じ駒沢大学に入り、親しくなっていったという。中畑は記者の問いかけに、Kは知っているし、彼がやっている旅館に行ったことも認めたが、事件については「まったく分からない話だ。もう勘弁してくれ」というだけだった。
だが、6月20日に静岡県伊東市にあるゴルフコースで、Kが経営する旅館の7周年記念ゴルフコンペが開かれている。演歌歌手の山川豊、鳥羽一郎、山本譲二なども顔を揃え、会場に届けられた花輪の中には中畑清のものもあった。警察当局は「被害届さえ出れば捜査に乗り出したい」といっているそうだ。文春 はこう結んでいる。
「真実解明のため、巨人側は公訴時効を迎えていない06年の恐喝事件の被害届を警察当局に提出すべきではないか」
Kが元暴力団であることは6月21日付朝日新聞のインタビューで本人も認めている。しかし、金を払った相手が暴力団であった場合、野球協約180条に違反し、原の野球人生は断たれてしまうため、巨人側は反社会的勢力の人間だと認めるわけにもいかず、被害届を出すこともできないのではないかと文春は推測する。
読売巨人軍「言論圧殺」週刊文春の広告差し止めの仮処分申請
また、先週の文春が発売される3日前に、読売巨人軍が文春の広告差し止めの仮処分を東京地裁に申し立てていたことを明らかにしている。結局、19日になって読売側が申し立てを取り下げたが、こうした読売という言論機関の「言論圧殺行為」に対して、田島泰彦上智大学教授はこう批判している。
「言論機関が事前の差し止めを法的に求めた、という事例を私は聞いたことがありません。これは言論機関の自殺行為です。今回は広告に関する差し止めですが、広告に掲載される見出しの表現も言論と一体のもの。雑誌と広告を分けて考えること自体、無理がある」
読売新聞には、原発を日本に持ち込んだ正力松太郎、白紙でも新聞を売ってみせると豪語した務台光雄という超ワンマンがいた。務台が選んだ後継者・渡邉恒雄も2人を忠実に見習い、自分に逆らう人間を排除してナベツネ王国を築き上げたが、もはや瓦解寸前、いや、崩壊していると見るべきだろう。
私は昔、務台が会長のとき、もはや老害になってしまった務台はやめるべきだという記事を「月刊現代」でやって、読売社内が大騒ぎになったことがある。これと同じことを、いまの渡邊主筆にもいいたい。
「週刊朝日」で、今回の原スキャンダルのネタ元ではないかと疑われている清武英利元巨人軍GMが鳥越俊太郎との対談の中でこう語っている。
「今、読売社内では、多様性は認められず、渡邊社論のみです。やっぱり表現の自由って言論機関としてはいちばん大事なことじゃないですか。権力の監視というのも、とっても大事なこと。ところが権力の監視どころか、読売自体が権力になってしまっている」
文春は小沢一郎の妻・和子の「離縁状」と原の恐喝問題で、2週連続完売だそうである。文春一人勝ちの様相を呈してきている。他誌のがんばりを期待したい。
皇室も大変だ!「週刊新潮」雅子妃バッシングと「週刊文春」紀子さまバッシング
さて、いつもながらの雅子妃バッシングと秋篠宮家の紀子さまバッシングの記事が文春と新潮に載っている。新潮の記事は、小町恭士・東宮大夫が昨年、雅子妃が愛子さまの校外学習で付き添って山中湖に行った際、1泊12万円のスイートルームに宿泊して物議を醸したとき、定例会見での発言が雅子妃の勘気に触れてしまったそうである。
「愛子さまのご参加については『良かった』としながらも、雅子妃が学校の泊まりがけ行事にまで付き添われたことを『正常な状態だとは思っておりません』と述べました」(東宮職関係者)
その後、二人は意思疎通を欠き、皇太子を仲介してしかコミュニケーションがはかられなくなってしまった。また、東宮職では昨年1月までの2年足らずの間に、幹部を含む5人の職員が立て続けに「離脱」しているそうである。こうした状態を変えるために、皇室ジャーナリストの山下普司はこういう。
「ここはやはり、殿下がリーダーシップをお取りになって、妃殿下とこれからどう向き合われ、どう調整されていくのかという問題に、ぜひ取り組まれて頂きたいものです」
だが、われわれ下々の家だって、カミさんからリーダーシップを取り戻すのは至難の業である。難しいと思うがね。
文春のほうは、秋篠宮家の仕事がきつくて10年間で10人以上が交代したと書いている。かつて秋篠宮家に事務職として使えていた一人がこう語る。
「秋篠宮家は職員の間では『ご難場』とも言われています。できることなら避けたい職場だというのが正直なところ。辞める職員が多いのは、仕事量が多くて大変だからでしょう」
紀子さまの人使いが荒いという話もあるようだが、予算的にも厳しい状況にあることがそうさせるのではないかと、元宮内庁職員の山下普司が解説する。
「秋篠宮家は、法律上は一宮家ですが、『事実上の内廷皇族』と言えます。三方をお支えする東宮職に五十名以上の職員がいるのに対し、ご家族が五方いらっしゃる秋篠宮家に二十人弱では、職員一人あたりの仕事量は膨大になる。さらに、秋篠宮家に支払われる皇族費は年間六千百万円。ここから私的使用人の人件費や食費に加えて、洋服や教育費も捻出されるわけですから、予算的にも厳しい状況にあります」
なるほど皇室っていうのも大変なんだ。
「ザ・ピーナツ」伊藤エミ死去でテレビ局困った!現役時代の映像使用禁止
昨夜(2012年6月27日)、われわれ世代に悲報が届いた。ザ・ピーナッツの双子の姉・伊藤エミが亡くなっていたというのだ。享年71。もうそんな歳になっていたのかと、自分の年も考えずに感慨にふけった。「シャボン玉ホリデー」や「ザ・ヒットパレード」で国民的な人気者になり、吉永小百合と二分する多くのファンがいた。友達とピーナッツと小百合とどちらが素晴らしいかを、真剣に論争した日が懐かしい。「恋のフーガ」や「ウナ・セラ・ディ東京」「恋のバカンス」などヒット曲は多いが、私は「大阪の女」が好きだ。
1975年、30代半ばで引退して歌手の沢田研二と結婚したが、その後離婚した。いつまでも素人臭さの残る、どこか哀しい目をした二人だった。結婚しているときも妹を家に入れ、離婚後は二人一緒に暮らしていたほど仲がよかった。引退後はいっさい芸能界とは縁を切り、活躍していた頃の映像も使わせないため、テレビ局は困っているようだ。こうしたアイドルの死は、過ぎ去ったほろ苦いあの時代を思い出させてくれる。