沖縄を除く全国9電力の株主総会がきのう27日(2012年6月)一斉に行なわれ、東京電力、関西電力など7社で株主から「脱原発」の提案があったが、すべて否決された。しかし、関電では大阪市、東電では東京都が筆頭株主として「経営の透明性」などを求めてはげしく経営陣を追及した。
会社側株主が待機?「市場原理にさらされない企業はこうなる」
橋下大阪市長は自ら会場に乗込んで提案をぶつけた。ただ、時間をオーバーしたとたんにヤジられるなど、会場の大勢は「向こう側」にあった。八木誠社長は「野田首相も原発は必要と言っている。脱原発はまったくありません」と強気だった。橋下は「原発がなくなっても事業が成り立つのかを聞いたが、一切答えなかった。市場原理にさらされない企業はこうなる」とこれはボヤキに近かった。
東電の株主総会の会場となった代々木第一体育館には株主4400人が集まった。1兆円の公的融資を受け、政府が議決権の過半数を握るという「実質国有化」が承認された。この日で退陣する勝俣恒久会長は「再び皆様の信頼と取り戻すことができるよう最大限の努力をする所存」と述べたが、事前の根回しで株主提案はことごとく否決された。
東京都の猪瀬副知事は「経営の透明性の確保」「さらなるコスト削減」などを求めて詰め寄った。「突然の値上げで説明が不十分だ」「冬のボーナスは出るのか出ないのか。出ないのが普通ですよ」「意識改革ができていない」と迫ると、会場から大きな拍手が起こった。東京・信濃町にある東電病院についても、「いまどき職域病院で一般人を診療しない病院なんてありませんよ。しかも稼働率20%。資産価値は収益還元法でやると122億円になる。公的資金1兆円 が入っている。売却は当たり前でしょう」と隠し球も繰り出した。
ほかにも、柏崎刈羽原発の廃炉議案などあったがすべて否決された。脱原発運動の木村結さんは「加害者だという意識も、当事者の意識すらない」と吐き捨てた。