違法ではないが合法でもない。お香と称して脱法ハーブを販売する店が急増し自販機もある。キャスターの森本健成は「10代、20代を中心に脱法ハーブの吸引が拡大しています。脱法ハーブの吸引によって死にいたるケースも起きています」伝える。
昨秋から販売店急増!東京では渋谷、新宿、池袋中心に80店
脱法ハーブを日常的に吸引している若者は、「ハーブを吸うと自分が変わったような気になれる。変身したような感じがする。1度始めるとどんどん強いものが欲しくなる」と、中毒症状に陥っていることを告白する。
森本「最初はたばこ感覚でハーブを吸引する若者が増えています。なかには気分が良くなる覚醒感覚を求めて吸引に走る若者もいるようです」
東京都内だけでも今年1~5月の5か月間で、脱法ハーブを吸引して救急搬送を要請した人は99人、このうち94人が病院に運ばれた。この数は昨年1年間の搬送数11人を大幅に上回り、すでに約10倍だ。亀山拓也(NHK社会部記者)は「昨秋から脱法ハーブが急激に拡大しています。ハーブを販売している店も、昨年までは都内で数軒であったのに、現在は渋谷や新宿、池袋周辺を中心に80店近くにもなっています」と報告する。
森本「なぜ、若者の間にこれほどの脱法ハーブが蔓延するようになったのでしょうか」
亀山「気分が楽になるからとか、疲れが取れるからと奨められて、気軽に使い始めるようです」
ほとんど覚せい剤に近いα-PVPも登場
国立精神・神経医療研究センターの舩田正彦氏は、「現在、薬物に指定されているものは約100種類。しかし、実際にはその何倍もあります。α-PVPという薬物は覚醒剤に近いもので、非常に危険な薬物です」と説明する。
森本「なぜ薬物指定が間に合わないのですか」
舩田「ある薬物を危険薬物に指定すると、少し成分を変えた新種の薬物が出てくるんです。薬物規制と新種薬物のイタチごっこになっています。
医療機関が緊急搬送されてきた患者がなぜそういう症状になったのかがなかなか分からない。脱法ハーブについての知識がないし、成分を分析するのに時間がかかるという面もあります」
薬物ごとに指定するのではなく、こうした効果を狙ったものに大きな網をかけて、販売・所持していたら片っ端から摘発するというような法改正はできないのか。また、罰則を重くすることも必要だろう。
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2012年6月25日放送「危険性増す脱法ハーブどう食い止めるか」)