イネのセシウム汚染を防げ!福島・二本松で学者チーム取り組み

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「犯人」は落ち葉と雑草だった!夏に大量の流れ出し

   このナゾの解明しようと、東大を中心とした研究チームが発足した。さまざまな分野の研究者が40人以上集結し、複雑な山里の生態系に取り組むことになった。

   土壌以外に原因があるとすれば、渓流を通って水田に流れ込む水か。調べた結果、水に含まれるセシウムの濃度は1リットル当たり検出限界の1ベクレル以下で、どう見積もってもイネに与える影響は低いという結論だった。水でないとすると、イネと放射性物質を結び付けるパイプは何なのか。

   チームのメンバーで植物の成長メカニズムが専門の根元圭介東大教授は、汚染の原因をたどるにはセシウムの吸収が進んだ時期を特定する必要があると考えた。高い数値が出た1本のイネの葉と茎を成長順に仕分けし、放射性セシウムの濃度を特殊な装置で調べたのだ。すると、濃度は事故直後の春よりも、成長する夏の方が数倍に上っていることが分かった。

   これをもとに、今度は農地の物質循環を研究する塩沢昌東大教授が、水田の中で夏に何が起こっているのかに取り組んだ。イネから高濃度の数値が出た水田を詳しく調べたところ、ある共通点に気づいた。水田のほとんどが山に近く、落ち葉や雑草が水田を覆っていたのだ。そこで、実験室で春から夏にかけての気象を再現し、落ち葉や雑草の混じった土と混ざっていない土の鉢にそれぞれイネを植え、同量の放射性セシウムをかけてイネの吸収量を調べた。すると教授の仮説通り、落ち葉や雑草の混じった鉢のイネから2倍の放射性セシウムが検出された。塩沢教授が導き出した汚染のメカニズムはこうだ。

「落ち葉や雑草などの有機物についた放射性セシウムは、水田の中で水に溶けることなく夏までそのまま残っている。夏に水田の気温が上がり有機物の分解が急激に進む中で、有機物に付着していた大量の放射性セシウムが流れ出し、イネが最も養分を吸う夏に一気に吸収されたのではないか」
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