「週刊ポスト」の言い得て妙「大連立は議員の選挙互助会」
ポストは風変わりな週刊誌に変貌しつつあるようだ。高山文彦の「宿命の子 笹川一族の神話と真実」や青木理の「狂った牙 最強権力ー特捜検察の盛衰」はノンフィクションに力を入れているということで分かるが、「現場の磁力」という連載で石和鷹という作家を4回連続で書いたのには驚いた。女に溺れ、喉頭がんのため声を失った「修羅」を生きる作家の生き方は壮絶で読みごたえはあるが、週刊誌よりも文芸誌のテーマだなと、読みながら思わざるをえなかった。
それと編集長の好みだろうが、「主張記事」が多い。今週の「私は小沢一郎が嫌いだが『増税反対』は絶対に正しい」などが典型か。もちろん私も増税反対だが、小沢を持ってこなくてもいいのではないか。文春の小沢の妻の手記を読んでいると、何か白々しい気分である。だが、「『大日本増税党』邪マニフェスト 本誌があなた方の本音を代筆して差し上げよう」のなかのこの一節は気に入った。
「いま選挙をやれば民主党はボロ負け、自民党にも有権者の支持はない。そこで総選挙を先送りして大連立を組み、自公民で増税と再稼働をやれば、有権者は選挙で怒りのやり場がなくなる。議員の身分を守る選挙互助会の発想だ。大連立派のマニフェストを清書するとこうなる。
一、有権者に選択肢は与えません。政治家が安心して生活できる環境整備に励みます」
たしかに、消費税増税も原発再稼働も同じでは、選挙をやったらどこも惨敗するに違いない。仕方なくみんなの党や維新の会に入れるしかなくなる。それを知っているから、解散・総選挙などするはずがないのだ。
このところいい軟派記事に飢えている。現代、ポストの編集者諸君、もっと智恵を出しとくれ!