野田首相はきのう13日(2012年6月)の参院予算委で、大飯原発の再稼働について「国論が2分する中で、責任を持って判断した」と必要性を強調した。電力が足らなくなるので現実的な対応をしたのだというわけだ。社民党の福島みずほ党首から「脱原発は精神論なんですか」と皮肉られた。
西川一誠・福井県知事は早ければあす15日にも再稼働に同意するとみられ、再稼働の流れはどうやら固まった。しかし、安全基準が暫定なのに見切り発車だ。住民の不安は強い。
滋賀県知事「関西電力さんからも国からも企業からもかなり脅されました」
大阪府市エネルギー戦略会議の古賀茂明・特別顧問らは、「細野大臣は例外的だと言っていたのに、総理の会見では完全に変わっていた。『大飯同様に個別に判断する』と言った。この強行は次々に他の原発につながる」という。一時強硬に反対していた橋下徹・大阪市長ら関西の広域自治体連合も、「再稼働容認」に転じ、外国特派員協会で行なわれた会見で、嘉田由紀子・滋賀県知事が内幕を明かした。
「関西電力さんからも、また国からも、あるいは企業からもずいぶんと警告され、そしてある意味で『本当に停電になったらどうするんだ』ということを、きつい言葉ですが、かなり脅されました。『お前は責任がとれるのか』 と」。知事はいま「総理も細野大臣も『安全判断は暫定的』といっていた。この再稼働も暫定的であってほしいと申し上げている」という。
事情通は「電力会社は停電だけは避けたい。使う方がどの時間にどれだけ使おうと絶やしませんというのが供給義務だと考えている」と解説するが、それを果たすためには脅すこともあるというわけか。
町の声もむろん両方ある。「反対や。国のいうことは信じられへん。東日本災害みてごらん」「原発は反対」という声がある一方で、東大阪の中小企業は「計画停電になるとモノ作りがまったくできなくなる」「7月、8月に機械が止まると生活にも影響が出る。給料も減る」という。老人ホームはすべて電力なので止まったら患者が危ないと懸念する。
政府の「3つの安全基準」クリアは2つだけ。地震・大津波は来ない前提
政府の再稼働の安全基準は3つ。(1)緊急時の電源確保など安全対策の実行(2)地震・津波に対するストレステストの実施(3)防潮堤など今後の安全性向上だ。大飯原発では1、2はクリアしたが、3はこれから。それでも政府は大丈夫と言い続けている。
司会のみのもんた「大飯原発の下には活断層はなかったの?」
井上貴博アナ「あるかも知れないという話はある」
みのがいいことをいった。「停電になったら生活に困る。その通りでしょう。しかし15%、20%節電もできる。どっちをとるかといったら、私は節電をとる」
停電の恐怖キャンペーンでは関西電力の宣伝がよく効いているようだ。昨年(2011年)の東日本大震災後、東京周辺の計画停電で企業にどれだけ影響が出たか、給料が減ったかを強調しているのだが、原発事故避難で多くのが亡くなったが、停電で死人が出たという話は聞かない。
そもそも、安全の話と電力が不足とは別の話だろう。原発がないとして、どれだけのことができるかだれも考えてみない。首相が「責任をもって」といったって、政治家の責任て何なんだ? せいぜい議員を辞めるだけじゃないのか。原発事故で死んだり、放射性物質を大量に浴びたりするわけではない。