「議員年金廃止は良かったのかどうか……」安住財務相いまだに未練

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   とうに破綻しているのに、なお「マニフェスト」といい続ける小沢一郎・元代表は論外だが、このところ「修正発言」が閣僚からも出るようになった。マニフェストって何なのか。「朝ズバッ!」が珍しい切り込みだ。先週、岡田副総理が政権交代について「マニフェストでというより、政権交代を臨む国民の大きな流れのなかで勝たしてもらった」と発言した。「子ども手当2万6000円は過大であったと思う。反省すべき点はある」と言ったすぐあとだった。岡田はマニフェストに子ども手当2万6000円を盛り込んだ当事者だからだ。

国民の公的年金崩壊の危機を尻目に呆れた寝言

   さらに、マニフェストで実現したことを「後悔」する発言も出た。安住財務相 が「議員年金」をやめたこと(05年のマニフェスト)について、「厳しい政治批判の中でそうなったのだが、冷静に考えるとどうだったのだろうと思っている」。「やめろといったのは君らだぞ」とヤジが飛ぶと、「いや、自民党が提案した。決断したのは小泉総理ですよ」とムキになった。

   議員年金は在職10年で受給資格 (国民年金は25年)を得て、給付年額最低412万円(国民年金80万円)だった。あまりにも「特権的だ」として06年廃止になった。発言の真意を問うた記者の質問に安住は、「私も廃止派だ」とはいったが、「決まったとき私は9年8か月だった」などと未練とも思える言葉が並んだのだった。

   これに、当時、政府の諮問委の委員で、議員年金廃止を主張した国際年金比較研究所の渡部記安理事長は、「財務相発言として許されるものではない。国民の公的年金も崩壊しているときに。あれが間違いだったというようでは、だれを信じたらいいのか」と怒りをあらわにした。

マニフェストに議員がんじがらめ、国民は期待しすぎ

   いままた与野党修正協議で「最低保障年金」などが先送りになりそうな雲行きだ。もうひとつの「国会議員定数の削減」について、野田首相は先月22日(2012年5月)、「税の法案より先に結論を出さないといけない」と言っていたが、おととい(2012年6月10日)は「今週中に幹事長から提案させていただく。結論を出すよう努力する」と変わった。

   「マニフェストに書いてあることは死にものぐるいでやる。書いてないことはやらない」と言ったのは野田自身だ。一見もっともに聞こえるが、何が起こるかわからない政治の世界で、「書いてないことはやらない」というのはおかしな言い方だ。国民が納得しさえすれば、マニフェストの修正だってとりやめだって、増税だってできる。問題は納得だろう。

   司会のみのもんた「国会議員は公僕とは何かを辞書で調べ直すことですな。利権、利殖に走るような議員は要らない」

   慶応大教授の片山善博が「安住さんの発言は政治家の使命を考えるいい教材なんです」という。どういうことか。「議員年金はなくなっても国民年金はある。が、国民年金は給付が少ないからやっていけないと、水準が低いことを政治家自ら認めているわけ。自分たちも国民も一緒によくするのが政治家の役割でしょう。公僕の意味を忘れてる」

   昔は政治家の公約なんてだれも信じちゃいなかった。それがマニフェストといういい方になったら、今度は政治家が過度にとらわれちゃった。有権者もその気になった。このていたらくで少しは「冷静に」なれるか。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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