オウム真理教の元信徒、高橋克也容疑者(54) が消息を絶って1週間が過ぎた。警視庁は連日のように写真や似顔絵を公開しているが、すべて4日(2012年6月)までのものだ。それ以降はどこのカメラでもキャッチできていないから仕方ないのだが、そこで「朝ズバッ!」は専門家4人を引っ張り出して謎解きをした。
「八の字」に足振り出すがに股歩き
高橋が住んでいた会社の社員寮からJR川崎駅までの道筋は、表通りにはずらりといっていいほどの監視カメラが並んでいた。およそ1.5キロの間を数えると34個もあった。しかしまだ見つかっていない。東大生産技研の佐藤洋一教授は川崎付近のカメラ事情に詳しい。「写っていると思うが、 それをいかに見つけ出すかだ。人海戦術で時間をかけているところ」という。
目撃情報はある。大きなキャリーバッグを引いて、歩道ではなく車道の端の自転車用の白線の上を歩いていたという。歩道をにらむカメラを避けているのは明らかだ。寮の部屋には防犯カメラの性能を並べた雑誌があった。阪大産業科学研の八木康史教授は、「普通の人が読む内容ではない。警戒心をもって生活していたのが感じられる。カメラは10メートルも離れると顔は見分けられないという感じで、意識して防犯カメラの死角を動いている」と解説する。
しかし、八木教授は歩く姿から個人を識別する技術(歩容認証)があるという。大金を引き出した信用金庫から高橋が立ち去る後ろ姿の映像にも特徴が出ている。「八の字」に足を振り出すがに股のようだ。「無意識では同じ歩き方になる。顔が見えなくても個人の識別ができる」という。
ただ、カメラに写らないことにははじまらない。川崎のタクシーは車載カメラが7割近く。だが、高橋は意図的にカメラのあるタクシーを避けているようにみえる。街中でも避けて歩いている。