野田首相は4日(2012年6月)夕、5人の閣僚を替える第2次改造内閣を発足させた。狙いは「自民党との条件闘争の中で首を差し出した」(竹田圭吾ニューズウイーク編集主幹)自民党擦り寄り人事だが、注目されたのは民間から初の防衛大臣起用となった自衛隊出身の森本敏拓殖大教授だ。
民間人起用に自民党・元防衛相は疑問視
小倉智昭キャスターは「防衛に関しては精通しており、的確な人事と思うんですがね」と見るが、野党から疑問視する声が出た。一つは防衛省という国の要の大臣に「選挙の洗礼を受けていない民間人起用で政治的責任がとれるのか」(自民党の石破元防衛相)という懸念。もう一つは自衛隊出身でシビリアンコントロールが機能するのかという声である。
たしかに、森本は防衛大卒業後に航空自衛隊に入っているから、タテマエ論から言えばその通りなのだが、その後は外務省に出向しており安全保障問題のエキスパート。「ド素人」「資格に欠ける」といわれた前の2人の大臣に比べれば雲泥の差がある。
小倉「森本さんばかり注目されたが、全体でみるとどういう評価ですか」
時事通信解説委員・田崎史郎「新しく入られた方の名前と顔を知っている人はいないのではないか。皆さん地味で問題を起こしそうにない守りの人事なのでこうなった」
竹田もこう話す。「(副大臣から法務大臣になった)滝実さんは司法のプロで司法改革に取り組んできた人。森本さんを含めて結果的に適材になっている」
内閣改造で自民党が要求するハードルを一つ越えたが、早期解散・総選挙要求などが立ちはだかり、今後の展望となると全くの霧の中だ。