近所の男性証言「警察に通報したけど相手にしてもらえなかった」
菊地の覚悟を決めたような無防備さが、かえって周囲に不審を抱かせなかったのかもしれない。ただ、次のような男性の証言もある。
「近所のスーパーにある銀行ATMで、菊地容疑者の手配写真を見ていた母親が、ぱっと見たらめちゃ似ていた人がいて鳥肌が立ったという。母親はそのことを警察に言ったらしいんですけど、電話では相手にしてもらえなかった」
江川もこんな話をした。「他にもあります。警察に出頭した本人が名乗っているにもかかわらず、信用されず、貼ってあったポスターを指して『これが僕です』と言ってようやく逮捕されたケースもあった。手配のポスターを貼っても、警察の対応がこれだと捕まりなせんよね。これだけ時間がかかったのには、こうした背景があるのかなと感じる」
逃避行の全貌はこれからの取り調べで明らかになるだろう。「オウムの闇」の部分について、江川はこう注文をつけた。「秘密を知っているとは思えませんが、すでにオウムを知らない高校生や大学生がいますから、どうしてこういうところに巻き込まれていったのかということを含めて、今までの自分を整理してきちんと出して欲しい」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト