国会「原発事故調委」隔靴掻痒…なぜ東電幹部呼ばないのか

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   国会の事故調査委員会に28日(2012年5月)、参考人として呼ばれ聴取された菅前首相が、ここを先途と開き直り、正当性を主張した。そこで浮き彫りになったのは官邸と東京電力の食い違いだった。「モーニングバード」では「もはやどうでもいいこと」(司会の羽鳥慎一)という見方も出たが、緊急事態が今後起きない保証はない。二の舞を演じないためにも、きちっと教訓として残す必要がある。

「全員撤退」「海水注入中止」「菅首相怒鳴り込み」の真相明らかにせよ

   以下、菅の主な主張を取り上げると――事故直後に視察を強行し過剰介入してとして問題視されたことについて、「事故の状態がいっさい分からず、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、東電から根本的な話はなかった。現場の責任者と話せば状況を把握できると考えた」と述べた。

   また、海水の注入を巡り「中止を指示したのは官邸の意向」と東電が批判したことについても、「東電の武黒一郎フェロー(当時)の判断で、現地の吉田昌郎所長(当時)に言った後で知った。『官邸の意向』というのは官邸に詰めていた東電の意向だった」と真っ向から対立する主張を行った。東電本社を訪れ叱責した点を批判されたことについては、「夫婦喧嘩よりは小さく話した」と釈明した。

福島事故究明終わらぬうちに原発再稼働許されぬ

   政治家の参考人招致はこれで終わったようだが、振り返ってみると、事故直後の官邸内部には原発に関する誰もが納得する優れた学識者も、実際に判断し実行を指揮する政治家も、公益のために自己犠牲できる東電側の責任者もいない寒々しい状態だったことが伺える。その混乱の中で、多少フライングはあったのかもしれないが、最高責任を自覚せざるを得なかった菅前首相がひとり走らざるを得なかったのかもしれない。

   これら食い違い解明のカギを握るのは清水正孝社長(当時)だ。ぜひ清水前社長を参考人招致して、矛盾点を解明してほしい。強制力を持ち、証人喚問もできる国会事故調なのだから、解明する義務があると思う。

   「あのような状況では叱責するのもしょうがない」(司会の赤江珠緒)という菅擁護の意見も出たが、舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)からは次のように話した。

「一番大事なのはあの数か月間にどんな放射性物質がどの地点にどれだけの量放出されたのか、早く正確に教えてもらうことだった。それがいまでに誰も責任を取らず、再稼動に動いている。こんなことが許されていいのか」
文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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