家族のささやかな幸せ織り込んだ1枚のキルト
また、カメハメハ大王の末裔であるマットは、カウアイ島にある先祖代々の広大な土地を売却するかどうかという問題も抱えていた。売却すれば島の自然は失われるが、一族には巨額の富が入る。この一見関係なさそうな2つの問題がどう展開するのか、最初は予想もつかなかったが、後半から見事に交差しつながっていく。土地問題をきっかけに、自分の祖先という大きなファミリーの歴史を振り返ることで、いまの自分の小さなファミリーにもある答えを見つけ出す。
ラストシーンで、マットは娘たちとソファでテレビを見ながら1枚のキルトにくるまる。それは妻が以前使っていたものだ。3人を包むキルトには温かさだけでなく、喜びも悲しみも、また楽しみも苦痛も織り込まれているに違いない。それが家族であるというメッセージというわけだ。派手さはないが、じんわりと心に染みる佳作だ。
バード
おススメ度:☆☆☆