「東京スカイツリーに登ることなどさらさらない」という高所恐怖症の男が、ロンドン五輪で高さを武器にメダルを目指している。「週刊人物大辞典」コーナーで、トランポリンの日本代表に決まっている伊藤正樹選手(23)=金沢学院大クラブ所属=を取り上げた。
去年の世界選手権で銅メダル
トランポリンは10回の跳躍の中で技を競う競技で、採点要素として、技の難しさを競う「難易度」、技のでき栄えを評価する「演技点」、飛んでいる滞空時間が長い「跳躍時間」の3つがある。さらに、跳躍で着地する際、ジャンピングゾーン(横1.08メートル、縦2.15メートル)と呼ばれる長方形の枠を少しでもはみ出すと減点だ。
この競技は中国が強いが、昨年11月(2011年)の世界選手権は団体で日本が初の金メダルを獲得し、伊藤選手は個人の銅メダルをとった。
伊藤がトランポリンを始めたのは3歳の時という。8歳の小学3年で早くも頭角をあらわし、史上最年少で全日本選手権に出場。この年に五輪強化指定選手に選ばれている。以来、トランポリン漬けの日々を送ってきた。願いはトランポリン競技を「メジャー競技にすること」だという。
願いに近づくにはロンドン五輪でメダルを獲得することだが、「目標として言うなら最低限銅メダル、夢が叶うなら金メダルを取りたい」ときっぱり答えた。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト