振興費漬け沖縄―基地負担の埋め合わせに使い切れぬ巨額交付

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   「シリーズ 沖縄復帰40年」の2回目は、「『基地とカネ』の深層」なるタイトルで放送された。この「カネ」とは、ひとつには基地自体が直接的に沖縄にもたらすカネ(軍用地代など)である。もうひとつは日本政府が開発振興のために沖縄に投じたカネというものである。

自立に逆行する財政依存度40%

   これまで40年間、沖縄の基地経済からの脱却を促し、低迷する経済状況を改善するため、国は沖縄に総額10兆円もの振興費を出してきたという。今年度は2900億円という巨額で、県が消化するのに苦労するほどである。当初は、本土にくらべて立ち遅れていたインフラ整備などに使われてきた。しかしある程度、インフラが調っても、振興費、公共工事が続いた。国から県へ、県から市町村へとカネがカネが渡り、いわゆる箱モノ的施設もつくられ、御多分に洩れず、お荷物化しているものもあるという。

   江上能義・早稲田大学教授によれば、沖縄の財政において、基地からの収入は比重が下がった一方、国への財政依存度が増したという。他県では20数%だが、沖縄県の財政依存度は約40%と高い。振興策は基地負担への埋め合わせ的な意味合いも大きいと捉えられている。それは「沖縄に基地をお願いする国の立場からすると、非常に都合のいい部分もあった」(江上)

   1998年の県知事選挙では、普天間基地が争点になった。現職の大田知事は県内移設反対だったが、県内移設受け入れとリンクした振興策を活用して経済発展を企図する稲嶺氏が当選した。

   「巨額の予算は沖縄の自立につながったのか」。番組はそう問いかけていた。「自立」のためのはずだった振興費が、基地問題で言うことを聞かせる目的で濫用され、沖縄はそれに依存している――。そんな絵図が番組を通じて描かれていたようである。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2012年5月15日放送「シリーズ 沖縄復帰40年(2) 『基地とカネ』の深層」)

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