ある日突然、唇が腫れ、まぶたが開かなくなり、重篤な呼吸困難に陥る。しかも誰でも起こりえる怖いアレルギー症状を「モーニングバード」が取り上げた。
結婚式の二次会の帰りに発症し、救急搬送された20代の女性は、「アッという間にまぶたが開かなくなり、唇が腫れて、頭の上から呼吸音がゼーゼーと聞こえ始めました。自分では呼吸ができなくなり、搬送先の病院でノドを切開してチューブを入れるしかないといわれました」と話す。病院で調べたところ、直前に飲んだイチゴジュースの着色に使われている「コチニール色素」が原因だった。
飲料やハム、口紅、医薬品に使われるコチニール色素
「コチニール色素」はカマボコのピンク色部分、イチゴジュースなどの飲料、ハム、ソーセージ、ピンク色のかしわ餅、口紅、医薬品など、ごく身近なものに昔から使われている着色料だ。食品添加物の表示には「コチニール」とか「カルミン」と表記されている。厚労省も安全と認めている天然成分由来の着色料だが、今回、消費者庁がアレルギーの原因物質と初めて認めた。
消費者庁は「コチニール色素がアレルギー症状を起こす症例あることについては一般に知られていない。死の危険性もある重篤な症状の可能性もあるので、皆さんに知っていただくために認定した」という。アレルギー症は、大阪大皮膚科学教室の壽順久先生によると、「誰にでも起こりえる後天的なものだ」というから怖い。
サボテンの葉に巣くエンジンムシから抽出
天然成分由来といわれるが、原料はなにか。サボテンの葉に巣食う「エンジンムシ」と呼ばれるカイガラ虫の一種で、南米ペルーでは養殖もされている。ただ、エンジンムシ自体が悪いのではなく、虫に含まれる蛋白質がアレルギー症状を起こす。この着色料を扱うメーカーは現在、悪さをする蛋白質を精製の過程で完全に除去する研究を進めている。
司会の羽鳥慎一「『コチニール』と表記されているからダメというわけではありません」と念を押す。消費者庁も「食べないようにして下さいというわけではなく、症状が出たときのために知っておいて欲しい」と、風評が広がるのを怖がってか何やら抑え気味のコメントをする。
しかし、知ってしまえばこの着色料を使っているピンク系の食品を控えないわけにもいかない。作家の立花胡桃も「衝撃!ピンクをちょっとだけ疑ってしまう」とまぜっ返していた。