7月(2012年)から家庭向け電力料金の値上げを予定している東京電力の「お客さま本部長」という高津浩明常務が生出演し、値上げが不可避であることをバカ丁寧に説明したが、目新しい話はほとんどなく、値上げがズシッとこたえる印象だけが残った。この常務さん、きのう15日にはTBS系「朝ズバッ!」に出演していた。どうやら、東電の値上げキャンペーンが始まっているようで、ワイドショーもそれに一枚乗っている印象だ。
お客さま本部長「料金値上げは32年ぶり」
肝腎なことを隠してきた東電の体質を浮き彫りにすることが一つあった。今回の値上げ幅を示す例として、東電があげてきた「標準家庭で月額480円(6.9%)の値上げ」についてだ。司会の赤江珠緒が「標準家庭って何ですか。値上げを低く見せるためものでは?」と聞くと、高津は「その前に」と言って、長々と福島原発事故や停電のお詫びを述べる。
高津からようやく値上げに触れると、「電気料金値上げは昭和55年以来32年ぶりで、この間、10回値下げをさせていただきました」なんて言う。原油の値上げと称してこれまで小刻みに値上げしてきたのは値上げのうちに入らないらしい。
「夫婦・子ども2人世帯」の値上げ幅示さぬモニバド
で、改めて赤江が「標準世帯」について質問すると、高津は契約アンペアのシェアが1番多い30アンペア世帯のことだという。昼間電気を使わない共稼ぎ夫婦や単身者の世帯で全体の42%、次は40アンペアの24%、50アンペアの12%の順という。赤江は「なるほど、使用形態に合わせた標準ということで納得しました」というが、昼間は家に誰もいない共稼ぎや単身赴任世帯が「標準」というのは、実態とずいぶん違うのではないか。
子どもがいて電気代のかかる、いわゆる夫婦・子ども2人の「標準世帯」では、40アンペアや50アンペアの契約が多い。そうした世帯の値上げ幅はどうなるのか。番組がボードで出したのは、この世帯の値上げ幅を飛ばした60アンペア契約の家庭にについて。これは月間1677円(12%)アップだった。
いったいどこを向いて今回の値上げ問題を取り上げているのか。東電のご説明コーナーと思わざるを得ない内容だった。