電気料金値上げと柏崎刈羽原発の再稼働を前提とする東京電力の総合特別事業計画に対する国民の反発は依然として根強い。けさ15日(2012年5月)の「「不連続シリーズ これでいいのかニッポン」のコーナーに、東電常務でお客さま本部長の高津浩明氏(59)が生主演、コメンテーターやゲストの質問にこたえ、東電側の事情を説明したが、両者の溝は埋まらなかった。
身を切る給与削減「管理職25%カット895万円、一般職20%カット520万円」
高津常務の出演は4月5日に続き2回目である。前回同様、経済ジャーナリストの荻原博子をゲストに招いた。休暇中のみのもんたに代わり司会を務めるアナウンサーの井上貴博が、「今日は電気料金値上げ、東電の身を切る姿勢、柏崎刈羽原発の再稼働の3点について聞きます」と前置きして始まった。
高津は値上げの根拠について、原発停止に伴う火力発電の燃料費や購入電力料の増加をあげて説明した。これについて、荻原が「説明が不十分」「昼間高く夜間安いピークシフトプランも非現実的だ」「電気料金は発電費用×3%(利益)で決まるが、事故後は2%にするのが通常の感覚ではないか」などと問い質した。
「身を切る姿勢」について街頭のインタビューでは、とくに商店や町工場から「われわれは風評被害と値上げで2重パンチだ」「町工場は血を吐く努力をしているが、東電は血を吐いているのか」といった厳しい声が多い。コメンテーターの三屋裕子(スポーツプロデューサー)も「東電がコスト削減しているところが見えてこない」と指摘する。
これに関し、高津は人件費について「管理職は平均年収1175万円から895万円に25%カット、一般職で645万円から520万円に20%カットした」と説明した。従業員1000人以上の企業の下のレベルというが、杉尾秀哉(TBSテレビ報道局解説・専門記者室長)は「もともとものすごく高かった。それをようやく大企業並みにしたということではないか。これで血を吐く努力といえるのか」と迫る。荻原も「国税庁の調査ではサラリーマンの平均給与は400万円ちょっとですよね」
「柏崎刈羽原発の再稼働は何が何でもということではありません」
柏崎刈羽原発の再稼働についても、地元で反発の声があがり、新潟県知事も撤回を求めている。高津は「あくまで仮定でありまして、何が何でもということではありません」と釈明する。では、「再稼働できなかった場合、電気料金はいくらになるか」という杉尾の質問に、「さらに5割」と認めた。
一連のやり取りについて、内野雅一(毎日新聞編集委員)が「多くの国民は、いま高津さんがおっしゃっていることに不満足といっている。値上げは権利という社長発言へのフラストレーションは大きい。さらにもう一段踏み込んだものを出してくれといっている。それが出せますか」と迫ったが、高津は「これが私どもの……。これで何とか理解を」というほかなかった。
ここまで強い不信と疑念をどう揉みほぐして行くのか。容易なことではない。