<王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件>中国版シャーロック・ホームズとして欧米で人気の小説「ディー判事」シリーズの映画化作品である。怪奇事件の謎に迫る実在した判事ディーを演じるのはアジアを代表するトップスター、アンディ・ラウだ。香港アカデミー賞に13部門ノミネートしたほか、米タイム誌が選ぶ2011年ベストムービーに「アーティスト」「ヒューゴの不思議な発明」に次ぐ第3位で堂々とランクインした。
大仏も崩壊!度肝抜く派手アクション
舞台は中国・唐の時代。女帝・即天武后(カリーナ・ラウ)の権力の象徴である大仏「通天仏」の建設現場で、人体が突然発火して灰と骨だけを残して焼き尽くす怪奇事件が発生した。真相解明のために白羽の矢が立ったのは、反逆罪で囚われの身となっていた判事ディー・レンチェ(アンディ・ラウ)だった。高い知性に加え、類まれな武道の使い手でもあるディーは、司法官・ドンライ(レオン・カーフェイ)、女帝の片腕でディーのお目付け役チンレイ(リー・ビンビン)と共に怪奇事件の真相に迫っていく。
この映画の見所はアクションシーンだ。アンディ・ラウは50歳とは思えない激しいアクションを披露し、リー・ビンビン、レオン・カーフェイは華麗なワイヤーアクションで舞う。一難去ってまた一難…次々と展開されるアクションは飽きさせない。
「中国版シャーロック・ホームズ」として親しまれているだけあって、謎解きも十分楽しめる。謎に近づいていくうちに生まれる仲間への疑心や葛藤がアクションをより激しいものとする。
ラストに待ち受けるのは最大の売りである大仏崩壊。真相の解明と相まって、これぞ映画と思わせる快感を味わわせてくれることだろう。「香港のスピルバーグ」と呼ばれるツイ・ハーク監督だからこそ描けるカタルシスだ。
野崎芳史
おススメ度☆☆☆☆