白昼、車の通行禁止の商店街を猛スピードで乗用車が駆け抜ける。78歳の女性をはねて重傷を負わせ、さらに道路の看板を跳ね飛ばし82歳の女性も軽傷を負った。その一部始終を監視カメラがとらえていた。ひき逃げなどの疑いで逮捕された大阪市平野区の塗装工小泉武容疑者(22)は脱法ハーブを吸っていたという。
幅2メートルのアーケードを時速50キロ
おととい6日(2012年5月)の大阪市福島区でのことだった。アーケードの付いた商店街の道幅は2メートルちょっとしかない。車1台が通ればギリギリである。自転車だってスピードを出せば危険だ。そこに銀色の車が飛び込んできた。車は170メートルほどのアーケード街をわずか12秒で走り抜けた。時速にすると約50キロ。「京都の事故を思い出しました。あれも猛スピードでしょ」と目撃した人は話す。別の女性も「急ブレーキの音とクラクション、エンジンをフル回転させるような音、悲鳴も上がった」と恐怖が冷めやらぬ表情だ。
小泉は母親に付き添われ警察に出頭したが、この日、午前10時前から大阪市内で一方通行の逆走やひき逃げ、当て逃げを繰り返していた疑いがもたれている。日曜日の午前中でひと通りが多くなかったため大惨事に至らなかったが、一歩間違えば大変な事態になるところだった。
22歳塗装工「誰かに追われているような気持ちになった」
警察の調べに対し、「脱法ハーブを吸い、誰かに追われているような気持ちになった。当て逃げをして無茶苦茶してしまったが、おばあさんをひいた記憶はない」と供述しているという。アナウンサーの井上貴博が「脱法ハーブを吸っていたということですが」と取材キャスターの米田やすみに聞く。
米田「脱法ハーブとは幻覚作用をもたらすハーブです。化学物質を混ぜたハーブで、吸うことは法に触れるということですが、観賞用、お香として販売されているので、お店で簡単に入手できます。厚生労働省では薬事法を改正して規制を検討しています」
コメンテーターの杉尾秀哉(TBS解説・専門記者室長)がそれに加えて、「薬事法上の禁止薬物は指定されているが、それと似た成分のものをつくって合法と称して売っている。それを指定すると、また別の似たような成分のものをつくる。イタチごっこです。それで、似た化学物質のものは一括して規制する包括規制の方向にいま向かおうとしています」と解説する。
ともあれ、車は凶器だ。居眠りであれ、飲酒であれ、薬物症状であれ、大きな事故に結びつく。繰り返し訴えるほかない。