宮城県気仙沼市の離島で、義援金や救援物資をめぐる横領騒動が起きている。人口3000人の小さな島だが名前は大島。ここで先月26日(2012年4月)、災害対策本部の説明会が開かれた。全国から寄せられた義援金や救援物資の横領や横流しがあったのではないかという一部島民から指摘に、当時の災害対策本部の資料や説明が曖昧で紛糾した。
「収入もっと多いはずだし。配布先の決め方不明朗」
東日本大震災で島は孤立し、外部からの支援が期待できない島民たちは自ら復旧作業に取り組み始めた。ここでリーダー的な役割を果たしたのが、自治会などの集まりである「大島地区振興協議会」会長が本部長になって設置した災害対策本部だった。当時の白幡雄児本部長が説明会で示した手書きの収支報告書によると、収入は445万円で、このうち50万円は誰からのものか分からず、残金は138万円という。領収書は全部そろっていると説明されている。
ところが、これに不信を持つ「大島を考えるみんなの会」の菅原憲一さんは、「この収入額は少ないし、救援物資の管理状況も不透明です。見えない部分がある。バイクや自転車、家電製品など、大きいものについての配布先をどう決めていたのか、自分が知っている家に融通したのではという疑惑が尽きない」という。
さらに、別ルートからボランティア関係者に3000万円の提供があったという話があるが、対策本部はこの金額については関知していないという。
島の住民の間でも「一部の人がワンマン的にやったというのがあったんじゃないか。ライフラインが通じた時点で役所が引き継げばよかった」「このままでは島民の間にいつまでたってもシコリが残る。きちっと処理してもらいたい」という声が広がっている。
災害対策本部の元本部長「横領ないけど、管理きちっとしてなかった」
こうした疑惑に白旗元本部長は「横領はないです」と言いながら、「最初からきちっと事務局を作って管理させる必要があったことは反省している。しかし、混乱していて当時それができなかったことも事実だ」と釈明する。
コメンテーターの宮田佳代子(城西国際大非常勤講師)は「行政にバトンタッチすればよかった」というが、今では後の祭り。島では第三者を立てて会計監査をしてもらう方向というが、混乱の最中、収入も支出も不明瞭では明快な答えがえられシコリが消えるのかどうか。