「旅行会社が主人でバス会社は弱い立場。買い叩かれる」
高速バスには路線バスとツアーバスの2種類がある。路線バスは運行経路やダイヤ、値段の届け出が必要だが、ツアーバスは自由に設定できる。専門家によると、ツアーバスは旅行プランを計画するツアー会社と運行を請け負うバス会社の力関係に問題あり、「旅行会社が主人でバス会社は弱い立場。できるだけ安くやれと買い叩かれる」と指摘する。
事故を起こしたバスの運賃は金沢―東京間で約3500円、同じ区間を走る路線バスの半額近い料金だった。こうした安さも手伝ってか、高速ツアーバスの利用者数は2005年の21万人から2010年には600万人と30倍も増加している。しかし、激しい価格競争の結果、安全性が犠牲にされることはなかったのか。コメンテーターの内野雅一(毎日新聞編集委員)は「世の中にはバスだけでなく、格安がいろいろ出てきていますが、競争は本来利用者にプラスになるはずのものです。安全性と格安をどう両立させるか。こういう事故がいろんな分野で起こる可能性があすにありますよ」と警告する。
文
一ツ石