週刊ポスト新ノンフィクション―期待させる「笹川一族」「特捜検察」
「週刊ポスト」はノンフィクションの新連載を2本始めた。高山文彦の「『宿命の子』笹川一族の神話と真実」と、青木理の「『狂った牙』最強権力ー特捜検察の盛衰」だ。佐野眞一の創価学会を描いた「化城の人」とノンフィクションが3本になるが、週刊誌としては思い切ったやり方である。
連載小説はもちろん、ノンフィクションを何本も掲載すると流動ページが少なくなるため、編集長はあまりやりたがらない。だが、飯田編集長はポストをノンフィクションを単行本にするための受け皿にしようと決めたのであろう。ノンフィクションを載せる雑誌がほとんどなくなっているため、ノンフィクション・ライターにとってはありがたいことである。何とか持続してもらいたいものである。
そのポストが、山口百恵やアグネス・ラムなどのアイドルを登場させて一世を風靡した雑誌「GORO」を特集している。カラーグラビアと坪内祐三の文章で、雑誌が輝いていた時代を再現してくれている。グラビアに登場するのは、若き日の宮沢りえ、西田ひかる、浅野ゆう子、浅野温子、森下愛、手塚さとみ、川島なお美、石田ひかり、紺野美紗子などなど。袋とじでは、小池一夫と叶精作の劇画「実験人形オスカー」を復刻している。といってもほんのさわりだけであるが。
坪内によれば、「GORO」が創刊されたのは74年(昭和49年)6月。中でも篠山紀信の「激写」が評判を呼び、アグネスはグラビアアイドルとして超人気者になった。だが、この雑誌の魅力は読み物ページにあったという。山口瞳の「礼儀作法」、安岡章太郎の「新アメリカ感情旅行」、丸山健二の「告白的肉体論」など。インタビューは沢木耕太郎や海老沢泰久、山際淳司、河村季里が担当した。河村がインタビューした女優・関根恵子は大きな話題を呼んだ。「小学校4年生の処女喪失が、私のすべての原点だったんです」と衝撃的なタイトルが付けられていた。
私はすでに編集者になっていたし、「GORO」世代ではなかったが、この雑誌の輝きは知っている。「GORO」は18年続いて91年12月で休刊する。私の学生時代の愛読書は「平凡パンチ」「週刊少年マガジン」「朝日ジャーナル」。ときど「世界」や「中央公論」。そんな雑誌を自分でつくってみたくて出版社へ入った。いま一度雑誌が輝く時代を見てみたいと思うのだ、ない物ねだりか。