「退職拒否」目立つIT、不動産、建設業界
なぜこんなことになるのか。特定社会保険労務士の篠塚祐二さんは「長期化する景気低迷で企業がゆとりを失っている。都合のいい労働者、低賃金で真面目に働く労働者にやめられると損失だから、阻止する。会社の奴隷です」という。
「労働相談センター」は「いびつな労働関係はリーマンショック以後、広がっている」という。IT、 不動産、建設業界に目立ち、いちばん多いのが損害賠償の脅しだそうだ。日本労働弁護団の宮里邦雄会長は「故意や重大な過失以外で、法的に責任追及はできない。損害賠償で訴えるのは稀だ。訴訟になっても勝ちます。相談には『やめても大丈夫』と言っている」という。また、「懲戒解雇」も撤回できる。「争えば撤回させられる。争う気になるかどうかです」と話す。
いかに経営が苦しいとはいえ、弱い立場の労働者にしわよせがいくのは本末転倒だろう。宮里氏は「コンプライアンス」といった。社員が「やめたい」と思う会社とは何なのか。日本社会のナベの底をのぞいた思いだ。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2012年4月26日放送「やめさせてくれない~急増する退職トラブル」)