上方落語の噺家でテレビやラジオで活躍している露の団姫(つゆのまるこ)が25日(2012年4月)、頭を丸め比叡山延暦寺に修行に入った。丸顔の笑顔が可愛い25歳の新婚1か月。なぜ仏門へ?「週刊人物大辞典」コーナーで、すでに読経三昧に入っている彼女を追った。
「仏の教えを落語で広めたい」
山門に入る前日、奈良・吉野郡のある寺で行われた高座で露の団姫はこう自己紹介した。「私、小さいころから落語家になるか、尼さんになるか悩んで落語家になったんでございますが、実はこのたび出家することになりました」
客席は一瞬静まり返ったが、彼女の「何やら微妙な反応で…」に笑いが広がった。高座を終えた彼女が向かった先は理髪店。かぶっていたカツラを外した頭はすでに丸坊主で、山門入りを前に剃髪の仕上げにきたという。頭を剃られながらこう呟いた。
「この間、謎掛けを考えたんですよ。剃髪と掛けてイナバウアーと解く。その心は反れば反る(剃れば剃る)ほど輝くでしょう」
あらめて「なぜ仏門に?」と聞かれると、「幼稚園ぐらいの時から、死んだらどうなるだろうとメチャクチャ怖かった。中学に入って宗教の存在を知り、仏の教えを勉強した」と話す。
その一方で落語に関心を持っていて、仏の教えを笑いで広めた初代・露の五郎兵衛の一門に弟子入り。「仏教落語に説得力を持たせよう」と、仏門と高座の二足のわらじを決意したという。
ダンナの太神楽曲芸師はクリスチャン
こう語る彼女の隣りに座リ神妙な顔つきで聞いている男が、1か月前に夫になった太神楽曲芸師の豊来家大治朗(34)だ。露の団姫によると「出会ったとき、なぜかソワソワして変やなあ」と思ったという。その秘密は「クリスチャン。言うたら嫌われると思って言えなかった」
山門へ向かう日はビシッと墨染の衣できめ、夫の運転する車で目指す比叡山へ。2か月間の修業は、前半1か月間は午前5時半起床、2か月目からは午前2時起床。沐浴場で水をかぶることから1日が始まり、ひたすら読経、ひたすら仏教史の勉強で、休みなしという。
コメンテーターの吉永みち子(作家)「出家する奥さんより、車で送っていったクリスチャンのご主人により仏教的なものを感じる」
からかわれた露の団姫が、山門に入る前に最後に放ったキメ台詞は「頑張ってプロの落語家になったんで、今度は修行してアマになります」だった。