いま日本の各界で起きてる「異変」を数えていたら、たぶん枚挙にいとまがないだろうが、番組によると「漢方」の世界もそのお仲間らしい。原因はおなじみの中国。生薬資源大国であり、生薬を用いた治療(中医学)の元祖・本場である中国で生薬のお値段がアップしてるんだそうな。従って、資源輸入国・ニッポンでも生薬のお値段が跳ね上がっている由。この頃の値上げ定番ファクターである中国の内需拡大もさることながら、生薬は欧米などでサプリに配合する用途で生薬が使われることが増えており、需要が大きく伸びているそうな。
ISOに「グローバルスタンダード」働きかけ
異変はそれだけではない。中国が自国の中医学をグローバルスタンダードにしようと国家的に企んでいるという。具体的には、3年前からISO(国際標準化機構)に働きかけているそうな。漢方の「グローバルスタンダード」というもの、ショージキいまひとつピンと来ないが、そもそも中国の漢方(中医学)と日本の漢方でどんな違いがあるのか。日本の漢方は、漢の方法をもとに、独自の研究やノウハウを積み重ねているそうで、いわゆる西洋医学と伝統医療が融合している特徴もあるんだとか。
しかし、かりに中医学のみが国際標準になれば、「日本の漢方医学は世界標準から外れた怪しいものという扱いを受ける可能性がある」(ISO専門委員会の袴塚高志博士)そうな。生薬も国際標準に沿って作られるようになるかもしれないし、漢方ビジネスは国際標準を握る中国のほしいままになり、ガラパゴス漢方は大きなダメージを受けるかもしれないらしい。
「国際中医師という中国の資格を、日本にも認めさせようとするのではないかと懸念する専門家もいる」(渡辺賢治・慶応大学漢方医学センター准教授)など、中禍論の枚挙にいとまがない今回の放送ではあった。
ボンド柳生
*NHKクローズアップ現代(2012年4月24日放送「漢方薬に異変あり!? 伝統医療覇権争い」)