また警察が不始末をしでかした。京都府亀岡市で無免許居眠り運転の少年(18)の車が集団登校をする児童の列に突っ込み10人の死傷者を出した大惨事で、捜査に当たっていた亀岡署の署員が遺族の了解も取らずに加害者の父親に住所や電話番号を教えていた。少年の父親が25日夕(2012年4月)、この電話番号をもとに謝罪の電話をしたことから分かった。
被害者父親「こっちは誰に殺されたか分からない状態で葬儀」
加害者の父親からいきなり電話では、悲嘆にくれる遺族が怒るのも当然なのだが、遺族のもとに謝罪に訪れた署長の勝手な言い訳に遺族がさらに激怒した。大棚吉一署長が訪れたのは、児童らを引率していて亡くなった保護者の(26)の自宅。署長は亡くなった保護者の夫や父親の前で、「何も言い訳することはありません。すべて私の責任です」と言いながら言い訳ばかりを並べた。
「うちの署員が事故を処理するにあたってですね、(加害者の)お父さんに(娘さんの)携帯電話の連絡先を言っているというので、そんなことは考えられないじゃないかと。普通はこんなもの警察官だったら誰でもわかっていることですよ。その中で何らかの事情があったと思うんです」
ここで父親が「何らかの事情があったからといって、われわれの確認も取らずに」と怒ったが、署長は懲りずに「だから分かっていただきたいのです。私たちもこういう事故が起こった中で、必死に捜査しています。徹夜続きです。その気持ちもちょっと分かってやってください」
これに父親はさらに激怒し、「捜査しています。犯人追及しています。犯人追及していたんだったら、何でうちの娘の携帯電話番号を犯人の父親に教えるのか。まだあの子の娘は頭の骨を折られて入院している。母親が死んだことも知らない。教えてやるべきか悩んでいる最中だった。そういう時に犯人(の父親)からいきなり電話がかかってきた」と詰め寄った。
父親の怒りはこれだけでは治まらず、加害者の少年が守られる少年法に及んで、「加害者の人権を思って被害者の人権を無視。何の確認もとらずに加害者側に情報を教えてしまう。被害者は加害者の情報を何も教えてもらえず、誰に殺されたか分からない状態で葬儀をあげないといけない。俺の気持ちがわかるか」と怒鳴った。
「弁護士だって簡単に教えてもらえないのに…」
司会の羽鳥慎一は「父親の怒る気持ちは当然ですよ」と言い、作家の立花胡桃も「守る人間を違えているんじゃないかと思う」と話す。
ゲスト出演した弁護士の田中喜代重「私がもしか被疑者の弁護士でも、被害者の了解を取って初めて教えてもらえるルールになっている。加害者の父親が謝罪したいという言葉を善意と受けとって教えたのかもしれないが、軽率だった」