無罪判決に法廷は一瞬どよめき、傍聴席にいた小沢グループ議員から「よし」の声が上がった。強制起訴された小沢一郎被告(69)の判決が26日午前10時(2012年4月)、東京地裁で言い渡された。小沢は瞬きせずにじっと聞き入っていた。
秘書らとの共謀立証できず
「モーニングバード」はこの判決公判のために放送時間を30分延長したが、番組中に判決理由などの詳細は分からなかった。弁護士の田中喜代重は「(小沢と秘書らの)共謀関係が立証し切れなかったのが無罪理由だろう」と解説した。検察調書が虚偽などでほとんど不採用になったことが響いたのだろう。そこで次の焦点になるのが、検察官役の指定弁護士が無罪を不服とし控訴するのかどうかだ。元東京地検特捜部検事の高井康行・弁護士は「よほどのことがないと控訴は難しい。可能性としては少ないんじゃないか」と見る。
小沢の党員資格復活と重要ポスト要求で野田政権窮地
小沢無罪によって野田政権の混乱は避けられないようだ。テレビ朝日政治部長の藤岡信夫は「野田政権のある幹部は判決前に、『混乱させないためには有罪になってもらうしかない』とまで話していた。さらなる混乱は避けられない」という。
なかでも小沢の党員資格停止の扱いが難しい。輿石幹事長は即刻解除を求めているが、昨年2月に資格停止を決めた時の幹事長だった岡田副総理や前原政調会長は、「党内できちっと議論しなければいけない」と慎重意見だという。
藤岡によると、野田総理サイドが党員資格停止の問題より、もっと警戒しているのが小沢サイドからのポストの要求だという。小沢は今月20日、「もう1度、最後のご奉公をしたい」と語っており、しかるべきポストを要求してくる可能性が現実味を帯びてきた。
松尾貴史(タレント)「これで控訴するとなると、虚偽報告書を作成した検察への不信がさらに募ってしまう。小沢さんという人を何で怖がったりつぶさなければならないのか、不思議でしょうがない」
テレ朝ディレクターの玉川徹「小沢さんをそれでもやっぱり悪い奴と見るのは、もう無理があると見ていい局面かなと…」
検察審査会の強制起訴そのものに疑問が生じているなかで、控訴をしてこの問題を引きのばすのは、はたして民意なのかどうか、相当無理がある。