だぶだぶのジーンズをずり下げ、下着を見せ、野球帽を後ろ向きにかぶるなど、ラフなファッションで踊るヒップホップダンスに、指導者養成のための公的な資格検定制度が登場したという。司会の羽鳥慎一は「そもそもヒップホップに資格などいるんですかね。『資格なぞいらないよ~』という感じですがね」と首をひねる。もっともな話だ。
受講費用バカ高!6万7000円
資格制度を作ったのは厚労省が認可した財団法人で、ワールドリズムダンス技能検定」と称してヒップホップとは縁のないような中年女性の代表が登場して、こんな説明をする。「ヒップホップダンス基本技能指導士検定という形で、心理学を踏まえたダンス指導の形を取ることになりました」
なぜヒップホップに心理学が必要か理解しがたい取ってつけたような能書きだが、指導の中身は音楽の歴史や音楽療法などの座学のほか、リズムの取り方やステップの踏み方など基本技能と対策研修を習得し資格を得るのだという。
そんな資格を取る費用がバカ高い。研修費、テキスト・DVD込みで5万円のほか、年会費や3年毎の更新料も含めると6万7000円かかる。DVDに収録された実技は、基本のリズムの取り方やステップの踏み方などを、20分間説明なしに踊り続けているだけ。DVDの中身について、ヒップホップのカリスマダンサーは「たとえば、サッカー界にJリーガーがいるにもかかわらず、ズブの素人がサッカーを教えているようなもの」と酷評した。
初めに集金ありきで資格検定を思いつき、あとでむりやり理屈をくっつけたといった感じだが、4月から中学校1、2年の体育授業でダンスが必修課目になったことが、資格検定による指導者養成を思いついた発端だったようだ。
財団法人化でいずれ役人の天下り
「みんなの党」の松田公太議員はこの財団法人について、「役人の天下り先となって育っていく可能性が十分ありますね」と懸念する。羽鳥は1冊6000円もするテキスト代に驚き、青木理(元共同通信記者)は「もとはニューヨークのブロンクスの黒人たちが始めたんでしょ。体制とは対極にあった。それが日本でこういう資格検定とはね…」と不思議そうな顔をしている。
気象予報士でタレントの石原良純は「気象予報士も何もなくて、最初はここから始まったんですよ」と擁護に回り、さらに「ダンスの話って楽しいね」と焦点がボケてしまった。