東京電力の新会長に原子力損害賠償支援機構の下河辺和彦・運営委員長の就任がきまった。企業経営の経験のない弁護士がなぜ起用されたのか。下河辺は札幌出身の弁護士で、企業再建に精通している専門家として知られ、昨年5月(2011年)に「東電に関する経営・財務調査委員会」の委員長に就き、9月からは現職の運営委員長を務めてきた。ただ、電力会社の経営は素人で、その手腕は全くの未知数。まして東電は他の一般企業経営とは異なる。
福島賠償、料金値上げ、公的資金の貧乏くじ
原発事故によって浮上した「脱原発」の行方や地域独占の見直しなど電力改革の見通しは全く立っていない。この夏には反発の強い家庭向け電気料金の大幅値上げも控えている。野田首相が民間の大物経営者に打診したが、ことごとく断られたのもこうした火中の栗を拾うのを嫌ったからだ。
司会の羽鳥慎一「思い切ってやってもらうしかないですね」
吉永みち子(作家)「思い切ってやってもらうといっても、新東電のイメージが全然固まっていない状況の中での就任になるわけで、破たんした企業の再生とはまた違う問題を抱えての船出。どんなナタを振るうのか、どっちの方向に向かうのが見えない中で何とも言いようがないですね」
電力改革の道筋もつけられない弱体政権が、場当たり的に決めた「1年間程度の暫定的人事」と言われているが、その1年間は今後の日本の電力事業体制を決め重要な年になる。野田はその重要な責任を丸投げしたように見えるのだが。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト