東京都は東日本大震災を受けて、首都直下型地震の被害想定の見直しを進めていたが、きのう18日(2012年4月)、その結果を発表した。前回(2006年)に比べ、死者数が約5600人から約9700人、避難者数が約287万人から約339万人へと大幅に増えた。今後の対策や実際に発生したときどう対応すればいいのか。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実に聞いた。
73万戸の仮設住宅どこに建てるか
渡辺氏によれば、今回の想定は震源の場所が10キロ浅くなったため、震度6強以上の地域が1.7倍、23区の70%に広がり、被害想定が拡大したという。死者数9700人について、「被害想定は手法を変えれば増減する。直感的にいえば、東京で大地震が起きた場合、死者がその程度ですむかどうかが問題だ」と厳しい見方を示した。
司会のみのもんたが不安を訴えたのは339万人に上る避難者のこと。「339万人、どこへ避難したらいいのでしょうか」
渡辺「この数字にぼく自身もショックを受けました。まず避難所ですが、はたして収容できるスペースがあるのか。うち220万人は仮設住宅に入って避難生活を送ることになる。約73万戸の仮設住宅が必要ですが、どこに建てるのか」
みの「動きようもないでしょう」
渡辺「ですから、首都直下型の防災計画は従来の避難所→仮設→恒久住宅の流れでは対応できない」
23区取り囲む大火災―都心密集地は火の海
地震とともに火災が発生する。被害想定の地図を見ると、23区を取り囲むように火の手が上がる。その中の人たちを救出するためにどう中に入っていくか。そして、その人たちをどうやって外に出すのか。すべて戦略的に考えなければいけない。
みのが東京の密集地の空中写真をみながら、さらに聞く。「ここが火の海になり、瓦礫の山になる。どうすればいいでしょうか」
渡辺「従来の発想では太刀打ちできません。避難所から、いったんどこかへ疎開をするということを本気で考えなくてはならない。疎開は関東大震災や空襲の時もありました。そういうダイナミックな発想が必要です」。
みの「今から疎開先を考えておかねばなりませんね」
今度は東北など東日本大震災の被災地に助けをお願いすることになるかもしれない。