「東京都が尖閣諸島を買うことにしました」
ワシントンを訪問中の石原都知事が17日未明(日本時間2012年4月)にびっくりだ。コメンテーターも「へー、ぜんぜん知らなかった」「中国はどうすんでしょう」と困惑気味である。石原は出発前に「ワシントンでは大いに物議をかもす発言をしますよ」と意味ありげな言葉を残し、前日の16日には「明日は危険な演説をしますよ」と予告、満を持した発言がこれだった。
都議会承認経て年内に購入
この知事の爆弾発言はヘリテージ財団のシンポジウムで行われたもので、「東京都はあの尖閣諸島を買います。多分、私が留守の間に実務者が決めているでしょう。東京が尖閣諸島を守ります」と述べた。すでに売り主と合意に達しており、「いま代理人の弁護士同士が手続きをしている。買い値についていまは言えないが、そう高くはない」という。
尖閣諸島は魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島の5島からなり、国が所有する大正島以外は日本の民間人が所有している。明治政府がこの5島を日本固有の領土として閣議決定し、現在、行政区分は石垣島市の所属。ただ、天然ガスなどの地下資源の埋蔵が明らかになって以降に中国や台湾が領有権を主張し始め、領有権争いの火種になっている。
何もしてこなかった政府に一石
東京都が購入するのは5島のうち魚釣島、北小島、南小島の3島で、都議会で審議して年内に契約を履行したいとしている。都が購入というわけだから、都民の税金が使われることになる。領有権を主張し攻勢をかける中国に対し、何もしてこなかった民主党政権に不満が高まっていることも事実だが、さて都民がすんなり納得するのかどうか。さらに、「都が尖閣諸島を守る」といってもどう守るのか。
スタジオでは、「ワーッ、都が買うんですって?」(司会の羽鳥慎一)、「(行政上)都になるんですかね」(金メダリストの清水宏保)、「中国はどうなるのですかねえ」(宮田佳代子元テレビ朝日キャスター)と疑問が噴出した。舘野晴彦(月刊『ゲーテ』編集長)は「ほんとに驚いた。中国にやられっぱなしで、島に人を住まわせるべきだという意見もありましたが、結局何もしなかった。業を煮やしたということでしょう。一石を投じますね、これは」と、期待半分、不安半分といったところだ。
東京都が島をどう守るのかについては、そこまで議論が至らなかったが、ぜひ石原知事に聞きたいところだ。