金正恩「長嶋監督説」失敗忘れてかえって発憤するタイプ

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   北朝鮮の故金日成主席の生誕100年を祝う記念式典で、正式に国のトップに座った金正恩第1書記が始めて肉声を聞かせた。20分間の演説は祖父と父の故金正日国防委員長が開いた「先軍政治」の継承を強調した。

   首都ピョンヤンの軍事パレードでは、先のミサイル打ち上げで招かれた各国記者団も取材に臨んだが、演説はこの場で行われた。指導者の肉声が滅多に聞けないという特異な国だけに、むろん国民も世界も注目した。

だから怖い「核実験」強行

   父親よりは低く普通によく通る声だが、書かれたものを一生懸命に読み上げるばかりでめりはりもない。

   「弱小国が政治・軍事強国へと変貌した。偉大な領袖(金日成)の子孫らしく、偉大な将軍 (金正日)の戦士・弟子らしく、団結して力強く闘っていこう」とお決まりの最後に、「勝利に向かって前進せよ!」と顔をあげ拳を振ったがややおざなり。居並ぶ軍人・国民を見やるでもなく、満場の拍手に熱く応えるでもない。映像を見た「コリア・レポート」誌の辺真一・編集長は、「プレッシャーからか、言葉は明瞭だが、心や感情が入っていない。最後のところは、拳を高く上げないといけないのに…」という。

   むしろ、専門家はこのあとの軍事パレードで登場したミサイルに注目した。韓国・延世大の武貞秀士教授は、「大陸間弾道弾(ICBM)ですよ。6700キロ以上飛ぶテポドン2号よりもひとまわり大きい。アメリカの心臓部に届くICBMを見せたかった」と見る。

   しかし、2日前には人工衛星と称する弾道ミサイルの打ち上げに失敗している。本来は、この日の祝賀の花火となるはずのものだった。これを北朝鮮が「失敗」と認めたことは各国を驚かせた。過去には、失敗を成功と言い張ってきたからだ。武貞教授は「金正恩の個性ではないか。情報を公開して外国メディアにいい印象を与えようとした。後方・PRを知っている」というが、外国記者団を招いていた手前、隠しようがなかったという方が当たっているだろう。

   ともあれ、ミサイル発射を受けて、アメリカは食料支援をストップした。これに北朝鮮がどう反応するか。過去2回のミサイル発射では、世界の非難に対して、いずれも核実験で応えている。現に米の衛星は北が核実験準備に入っていることを確認している。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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