北朝鮮ミサイル失敗!金正恩の「詰め将棋外交」次の一手は核実験

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   北朝鮮のミサイル発射が失敗した。全長30メートル、 91トンの「ウンハ(銀河)3号」の3は3代目指導者金正恩を指さしていたが、あえなく海の藻屑と消えた。アメリカが「ミサイル発射と核開発・実験の凍結」の見返りに約束していた食料支援は、発射失敗ではたしてどうなるのか。北は核実験で面目を施そうとしているという見方がある。過去2回のミサイル発射でも、直後に地下核実験を実施している。

米中の足元見て「食糧支援中止」「制裁強化」なしと判断

   朝鮮国営放送はミサイル打ち上げを「金日成生誕100周年への贈り物、金正日同志の遺訓である」と伝えていた。米国務省の元高官エバンス・リビア氏は発射前、「金正恩が権力を継承したことを示すには、発射以外の選択肢はない。北はミサイルを打ち上げても、米朝合意は無効にならないと考えている」と語っていた。たしかに、アメリカが食料支援を止めたら、ミサイル発射と核開発凍結を解除する口実になりうるからだ。といって、ミサイル発射を見て見ぬふりができるか。

   一方、中国の立場も微妙になった。前回のミサイル打ち上げでは「人工衛星だ」と北をかばったが、今回は「自制を求めた」と韓国に伝えている。しかし、北の不安定が大量難民を生む懸念から、制裁などの強硬手段には慎重だ。今回はまた、北からの事前通告がなかった。中国の研究者は「金正恩体制になってから何の相談もなく、中国政府は怒っているが、強い圧力は危険だ」という。中国もまた手を焼いているわけだ。

金正日路線に乗って「自動操縦」

   こうした北朝鮮の動きを平岩俊司・関西学院大教授は、「金正日時代に準備されたことを粛々と行っている。ロシアの専門家は『自動操縦』といった。正恩は操縦席に座っている。飛んでる時は問題ないが、離着陸のときだけ真価が問われる」と、短期的には安定していると見る。平岩教授は「瀬戸際というより詰め将棋」といった。過去のミサイル打ち上げで、米が送り続けた誤ったメッセージが、「核実験をやっても米は交渉に乗ってくる」という北の判断を生んだというのだ。しかし、他の選択肢があっただろうか。

   北朝鮮は13日に最高人民会議、15日に金日成生誕100周年の祝賀を迎える。ミサイルは失敗したが、次は核実験か。いや、失敗をカバーしようとして、いよいよ急ぐかもしれない。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2012年4月12日放送「『ミサイル』発射 北朝鮮で何が」)

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