桜が満開を迎えた京都・祇園で起きた暴走車による事故は死者7人にのぼる大惨事となった。運転していた30歳の男性も電柱に激突し死亡、てんかんの持病があり発作を起こした可能性もある。
病院「本人と家族に運転禁止を再三言ってきた」
事故は12日午後1時過ぎ(2012年4月)、観光客で賑わう四条通と大和大路通の交差点で起きた。暴走してきた軽乗用車が横断歩道を通行中の歩行者の中に突っ込み、男女18人をはね、女性5人、男性2人が死亡した。
車を運転していたのは近くの呉服雑貨店に勤める藤崎晋吾容疑者で、家族の話によると、藤崎は大学生だった10年前にバイクの自損事故で頭の骨を折る大ケガを負った。このケガが原因でてんかんの発作が起きるようになり、最近も月に1回程度の割で発作が出て通院していた。3日前には家族が「車に乗る仕事ならもう退職した方がいい」と忠告していたという。
通院先の京都九条病院の山本垂水院長は「この患者さんに関しては適切な治療を行ってきた。自動車の運転に関しては本人、家族に再三にわたり禁止を申し上げてきた」という。
会社はてんかんの発作通院していることを知らされておらず、藤崎はこの日、社有車で配達先へ商品を届ける途中だった。家族は「本人は『(てんかんであることを)言った』と言っていたが、それを言うと会社に居づらくなると思っていたようだ」と話している。
誰がチェックするのか…病院か警察か
てんかんの患者の免許取得については、「2年以内に発作がなく、その後、数年間は発作が起きないと医師が診断」「運動や意識障害が伴わない、部分発作しか起きないこと届け出」なら可能という。藤崎は3月5日に免許更新しており、その際、てんかんの発作については伝えていなかった。
作家の吉永みち子は「条件をクリアし免許を取得している人もたくさんいるだろうが、それが自己申告であれば、仕事を失い生活を失うことに結び付いて、(申告する)決断するのを迷う。条件を付けたならば、条件がクリアされているかチェックが必要ですよ。本人を守ることになるわけだから…」と話す。長嶋一茂(スポーツコメンテーター)は「運転免許制度も見直す必要がある」と指摘した。
ただ、どこがチェックするのか。通院している病院が警察と連携してチェックする仕組みが最適なのだろうが、個人情報保護との関連で難しい問題もありそうだ。