お嬢様女将が大変身「女将劇場」に笑い転げる温泉客

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   司会の赤江玉緒が担当するGWコーナー。間もなくやってくるゴールデンウィークではなく、「元気」「頑張る」「グレイト」の頭文字を取ったGウーマン、旅館の女将の話題だ。山口県山口市にある湯田温泉は美肌の湯で知られ、とらふぐ懐石などは絶品だというが、今やなによりの名物は「西の雅 常盤」の女将歴47年という女将・宮川高美さん(67)が毎晩演じる「女将劇場」である。

山口・湯田温泉「とらふぐ懐石より人気の毎夜の出し物」

   朝6時15分に女将が住むマンションの自宅を訪ねると、和服姿で決めた宮川さんが出迎えた。簡単な身繕いを済ませて7時に出勤し、朝一番の仕事は客の見送りだ。この日は北海道からきたツアー客の見送りで、人気の女将は記念撮影に引っ張りだこである。休む間もなく、10時にはこれから始まる1日の打ち合わせ。終わった後も従業員への細かな指示や雑用をこなし、準備が整った午後2時にようやく昼食をとる。といっても、具にサケ、ワカメ、梅干しを混ぜた大き目のおにぎり2個。このあとの、夜に行う「女将劇場」の稽古も欠かさない。

「楽しくなくちゃ、お客さんは苦痛に見えますから」

   楽し、面白い持ち芸はなんと70種類以上という。いま最も力を入れている大技の特訓に臨む。着用しているカツラが飛んで、細く巻いた自分の髪を筆に見立てて習字のパフォーマンスだ。墨が客にかからないように、墨の量や動き方のチェックが欠かせない。「反応があれば成功。大ひんしゅくを買っても、結構、後でウケますよ」

   午後4時に稽古を終え、到着した客の出迎えや夕食の支度に気を配る。8時過ぎに衣装のレオタード姿に着替え、いよいよ開幕だ。幕開けは1公演2000円(温泉入浴つき)で雇った山口大の学生と太鼓の共演。続いて手品、水芸、太鼓のバチで琴を叩くエレキ琴、とっておきは、左右に重さ20キロの人形を操りながら踊る3人踊り。夏場は1回のショーで2キロは痩せるという。演出、構成、主演すべて女将。人形や小道具、衣装も手作りで、職人があつらえたきれいな衣装よりも心が通ってとてもいい。しかも舞台はなく、目の前で演じられる絶妙な芸に客の笑いが止まらない。

「暗い世の中だからこそ徹底的に明るく面白く」

   旅館の跡取り娘として生まれ、4歳の時から日本舞踊、琴を習い、琴は師範の腕前という。20歳で女将を引き継いだが、当時の写真を見るとぽっちゃりとした美人だ。雨漏りがする古い旅館を引き継ぎ、琴の演奏や日本舞踊を披露するなどで、見合い結婚した夫と懸命に立て直した。ところが、軌道に乗った時にバブル経済が崩壊して不景気のどん底に。これが転機になった。

「暗い世の中、今までの芸を真面目にやっていてはダメ。暗い世の中だからこそ徹底的に明るく、面白くしなければ。何かを壊せば何かが起こる。あの時に変わってよかったと思う」

   赤江「ちょっと恥ずかしいみたいなことを言われた時もあったらしいですよ。今は他の旅館の泊り客さえ見に来るようになっているそうです」

   女将が大切にしている言葉が「人は思った通りの人間になる」。アメリカの作家の言葉という。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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