ビートたけしほど内外でイメージの違う人は珍しいが、その最たるものがアーティストの才だ。一昨年、パリでアート・オブジェの個展をやったときは、多くの日本人が驚いたものだった。その作品がやっと日本で見られるという。東京オペラシティ・アートギャラリー(東京・初台)で開く「BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展」(2012年4月13日~9月2日)で、その内覧会がきのう(11日)に行われた。
「売れねえかなあ」って思ってんだけど…
作品はカルティエ現代美術財団の依頼で製作されたもので、パリで開催された時にはフランスの芸術文化勲章の最高章「コマンドール章」が贈られている。たけしはアートに独特の視点をもっていて、「高いお金払っていい酒飲んで夢中になって酔っぱらうより、意外に、絵の具買って絵を描くのも同じ酔い方をするんだなと思う」と話す。「ウチの社長が『絵は絶対売らない』って言ってましたけど、 わたしは腹の底から『売れねぇかな』と思ってるんだけど」とうそぶいて笑わせた。
今回はパリではなかった版画や立体作品が加わっている。版画について聞かれると、 「バレンで擦って開ける時のドキドキ感というのは、ねえちゃんのパンツを下ろす時の興奮と同じようなドキドキ感で…、(通訳に)訳さなくていいですから」。わきで財団のフランス人が笑い転げる通訳にきょとんとしていた。
画面には次々と色鮮やかで奇想天外な作品が現われ、あらためてたけしの才に驚く。あの忙しい人がいったいいつこれらを作ったのかといぶかるところだ。ところが、司会の加藤浩次が「楽しそうだ」と言っただけで、時間がなかったのか、そのまま次へ進んでしまった。キャスターのテリー伊藤のひと言くらいはほしいところだ。まったく、たけしの爪の垢でも飲ませてやりたい。