「大飯原発再稼働」実証実験でわかった「安全対策」穴だらけ

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原発大国フランスには地元住民が監視する「地域情報委員会」

   原発と住民との関係で、微妙なバランスを保っている例がフランスにあった。フランス北部のグラブリーヌ市の原発は欧州最大規模だが、住宅街のすぐそばにある。安全に対する住民の意識は非常に高い。また、地域の声を直接政府に届ける仕組みがあった。原発情報の公開をうたった原子力安全透明化法に基づいて作られた「地域情報委員会」だ。ほぼ毎月市役所で開かれる。出席は住民・周辺住民代表、電力会社、政府原子力安全局、市議会、労組、環境保護団体。住民代表は週に1度の集会で住民の声を集約して委員会に出す。

   ちょうどいま、大飯原発で出ているようなさまざまな疑問や問題提起が住民から出ている。法律ではこれに「8日以内の回答」を義務づけ、電力会社が出席を拒否したり、情報を隠したりすると罪に問われる。住民には原発立ち入りと水の汚染調査の権利も認められている。

   平川秀幸・大阪大学准教授は「法制化は1981年で、長い実績のなかで制度に対する信頼がある。日本には何もないから不安も底なしだ。無策のツケ。日本もいますぐ始めないといけない」という。その通りだろう。だが、情報を隠し、安全神話を押し付け、不安を金で買ったのが日本の原発だ。政府も自治体も学者もマスコミも、電力会社のシナリオに乗っていた。議論に入るだけでも途方もない仕事に思えてくる。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2012年4月5日放送「どうする原発運転再開 不安は解消されるのか」)

文   ヤンヤン
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