2012年は団塊の世代が65歳を迎え始める年だ。これをにらんで、団塊向けのシニアビジネスが過熱していると、「目のつけドコロ」コーナーで取り上げた。団塊の世代とは、1947年から1949年の3年間に生まれた第1次ベビーブームの約800万人を指す。市場規模は100兆円という。
価格表示文字4倍、エスカレーターゆっくり、カートも軽く
取材キャスターの岡安弥生が都内のスーパーから最前線事情を報告した。大手スーパーのダイエーは先月(2012年3月)、シニア向け店舗を東京・赤羽にオープンした。店長は「市場調査をしたところ、50歳以上のお客様が約4割と一番構成比が高かったで、そこをメーンターゲットにしました」と話す。
店内のあちこちにシニア向けの対策がみられる。「あっ、軽い」と岡安がまず驚いたのが、買い物かごを運ぶカート。アルミ製にして軽量化をはかり、コマを大きくして回転しやすくした。商品の価格表示の文字も4倍大きくした。たしかにテレビ画面で見ても相当に大きい。老眼鏡のお世話にならなくてもよさそうだ。エスカレーターのスピードも3分の2に緩めた。商品にも対策をこらし、総菜は個食サイズで塩分控えめ。衣料品では加齢臭を軽減する下着も売り出した。
全体消費のほぼ半分が60歳以上、個人金融資産900兆円
カルチュア・コンビニエンス・クラブのTSUTAYAは代官山にその名も「蔦屋書店」という店をオープンした。広報担当者は「60歳代以上の方が自分の居場所として利用してもらうことをコンセプトにした」と話す。名画、名盤に加え、さまざまな専門書が並び、専門知識を持つコンシェルジュも常駐している。
岡安によると、60歳以上の消費支出額は年々伸びて2002年に80兆円だったのが、2011年には101兆円に達した。全体の消費のほぼ半分だ。さらに60歳以上の個人金融資産は700兆円から900兆円に上る。
司会のみのもんた「ちょっと待ってよ、こんな額なの、すごいねえ」
団塊の世代は子どものころから、終戦っ子、ヤング世代、ニューサーティーなどいろいろな呼ばれ方をして消費社会の中心を担ってきた。いまは経済的にも体力的にも余裕のある「アクティブシニア」だそうだ。デフレ脱却の鍵は団塊世代が握っているのかもしれない。