「AIJ社長」詐欺で逮捕できないのか!?経済犯罪に甘い日本

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   衆議院財務金融委員会の参考人質疑のニュースを見ていて、江戸時代の儒者、貝原益軒が言った悪人と善人の違いを思い出した。「悪人は過ちてその弁解をなし、善人は過ちてその過ちを過ちとす」

   悪人は弁解に終始するのに対し、善人は過ちを後悔するという意味だが、参考人として出席したAIJ投資顧問の浅川和彦社長も弁解ばかりで後悔のカケラも見せなかった。

「7000万円の報酬。多すぎるとは思わない」

   浅川と同じ野村証券にいたという民主党の近藤和也議員が追及した。「私も同じ会社にいたんですよ。古巣がバカにされたような気持で、悔しいです。ウソをつかないでください。いつの時点から騙そうとしていたのですか」と畳みかけると、浅川は顔色一つ変えず、「はっきり申しまして、最初から騙す気はまったくありません」

   近藤「1100億円の損失が出ています。この部分について、どうお詫びをしていくのか」 浅川「私どものファンドのお金は分別管理されているので、お客さまにお返しするお金はファンドの中での範囲ということになります」

   近藤「個人として受け取っていたのはいくらですか」

   浅川「年収で7000万円前後です。報酬に関しては、水増しでもらっているわけではありません。ですから、基本的に報酬を多く取ったとか、騙し取ったとかいうつもりはまったくありません」

   得た報酬を返済に充てるなどという健気な心掛けはまったくなさそう。座っている時の態度も胸をそらし、憮然とした表情で横柄な印象だ。

集めた金そのまま払い戻しに使っていれば違法

   司会のものもんたから「若狭さん、詐欺としか考えられないということなんですがね」と聞かれて、弁護士の若狭勝(元東京地検特捜部副部長)は次のように解説した。 「刑の重い詐欺罪(10年以下の懲役)で検挙できなければ意味がない。そのためには、客観的状況が大事になる。今回の場合、客から受け取った新規のお金を運用していれば詐欺罪は成立しにくい。が、その分を右から左へ払戻金に使っていたのに、お金を集めていたのであれば詐欺罪になります」

   詐欺罪の懲役10年以下でも甘いと見るのが逢坂ユリ(資産運用コンサルタント)だ。「詐欺になったとしてもたったの10年。日本は経済犯罪に甘すぎる。アメリカで2008年12月にあった経済事件では、求刑の200年に対し確定した刑は150年でした」

   騙した資産を時効までどこかに隠しておけば課税も免れる。経済犯罪者にとって日本は天国なのかもしれない。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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