衆議院財務金融委員会の参考人質疑のニュースを見ていて、江戸時代の儒者、貝原益軒が言った悪人と善人の違いを思い出した。「悪人は過ちてその弁解をなし、善人は過ちてその過ちを過ちとす」
悪人は弁解に終始するのに対し、善人は過ちを後悔するという意味だが、参考人として出席したAIJ投資顧問の浅川和彦社長も弁解ばかりで後悔のカケラも見せなかった。
「7000万円の報酬。多すぎるとは思わない」
浅川と同じ野村証券にいたという民主党の近藤和也議員が追及した。「私も同じ会社にいたんですよ。古巣がバカにされたような気持で、悔しいです。ウソをつかないでください。いつの時点から騙そうとしていたのですか」と畳みかけると、浅川は顔色一つ変えず、「はっきり申しまして、最初から騙す気はまったくありません」
近藤「1100億円の損失が出ています。この部分について、どうお詫びをしていくのか」 浅川「私どものファンドのお金は分別管理されているので、お客さまにお返しするお金はファンドの中での範囲ということになります」
近藤「個人として受け取っていたのはいくらですか」
浅川「年収で7000万円前後です。報酬に関しては、水増しでもらっているわけではありません。ですから、基本的に報酬を多く取ったとか、騙し取ったとかいうつもりはまったくありません」
得た報酬を返済に充てるなどという健気な心掛けはまったくなさそう。座っている時の態度も胸をそらし、憮然とした表情で横柄な印象だ。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト