父が撮った幼稚園の卒園式の動画があった。「北村波琉人くん」と呼ばれて証書を受け取り、「ありがとう」と大きな声だ。縄跳びをする姿もあった。これが先週土曜日(2012年3月17日)のことで、 悲劇は2日後に起こった。
おととい19日の午後0時40分ころ、埼玉・東松山市内のマンションの外壁工事用の鉄骨の足場(高さ10メートル)が強風で倒れ、ちょうど脇を歩いていた幼稚園児の集団の2人が下敷きになった。北村波琉人くん(6)が内臓破裂などで死亡、もう1人も鼻の骨を折るなど重症を負った。
埼玉県警「業務上過失致死傷」で請け負い会社捜索
現場付近は当時、最大瞬間風速14メートルを記録、強風注意報が出ていたが、足場はマンションの壁面に固定されておらず、現場には工事関係者は誰もいなかった。また、強風の際には 安全のためにはずすのが普通の「養生のシート」がついたままだった。
園児たちはドッジボールをするため近くの公園に向かっていたところで、前後に保育士2人がついていたが、突然のことで避けられなかった。埼玉県警は安全管理に問題があったとして、足場の設置を請け負った業者などを 業務上過失致死傷の容疑で家宅捜索した。足場は3階建てのマンションの外壁のタイル張り替えのためで、本来固定すべきものが立ち上げっぱなしになっていた。実際の工事は下請けがおこなっており、作業員への指導などが問われることになりそうだ。
父親の伸明さん(42)は「波琉人はだた歩道を歩いていただけなのに…。痛い痛いって言ってたと。どんなに痛かったか。肺がつぶれ骨盤がぐっちゃりでした。駆けつけた時は意識不明。できれば代わってやりたい」と悲嘆にくれる。4月からは小学生。黒いランドセルと通学用の黄色い帽子もあった。幼稚園の卒園アルバムには、大きくなったら「しょうぼうし」、好きな給食は「かれーうどん」と書いてあった。机の上には大きな時計の絵。「やっと時計を覚えたところでした」と伸明さんがいう。
小さな工事現場では日常茶飯事
司会の小倉智昭「先週の土曜日の映像が残ってるんですよね。切ないねぇ。もし、固定するとまた外す手間がかかると考えたとしたら、犠牲が大きすぎる」
高木美保(タレント)「ご両親の悲しみとあどけない笑顔に言葉もありませんね。油断があったんじゃないですか。あの風で固定もしてない。常識を守らないとなると、 習慣的に続いていたのかもしれない」
小倉「人災の部分がありますよ」
デーブ・スペクター(プロデューサー)「手抜きの可能性ありますね。大きな現場なら安全もいわれるが、小さな現場だと日常的にこうなのかもしれない」
小倉「人が歩くところで工事しているんだから…」
中野美奈子アナ「本来、人が立っていなければならない」
運が悪かったではすまされない。